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- 【コラム】『アイデアが湧きだすコミュニケーション』ができるまで
今週、コミュニケーションをテーマとした新刊『アイデアが湧きだすコミュニケーション-心のシグナルを読み、対話しよう』が出版されます。前作の『論理思考は万能ではない』
(2010年1月出版)から1年9か月も過ぎてしまいました。「もっと、サクサクと書きたいな」といつも思うのですが、集中する時間がとれず、どうしても間が空いてしまいます。けれども、後から考えると、アイデアがある程度まとまったら、あえて放ったらかしにしておくという、熟成期間も必要なのですよね。
今回のコラムでは、少し、趣向を変えて、この本ができるまでを振り返ってみたいと思います。
前作が出版されてしばらく経った、昨年の3月頃から、コミュニケーションのコラムを当社のホームページに書き始めました。その最初のコラム『相手の考えを理解せずにコミュニケーションできるか?』の内容も、今回の本に含まれています。いくつかコラムを書き溜めた段階で、前回もお世話になった出版社、ファーストプレスの上坂伸一さんに、「今度は、コミュニケーションの本を書きたいんだけど」と打診しました。メールを見返すと、昨年の7月になっています。そのとき、打ち合わせも1度だけ、やりました。
ところが、その後、上坂さん宛のメールが今年の2月まで、パタッと途絶えています。いったい何をしていたんだろう、と思い出してみると、昨年の11月頃までは、コンサルティングプロジェクトに忙殺されていたようです。12月になって、やっと集中的にアイデアをまとめる作業を行い、今回の本の骨格となるコンセプトをA3版で2ページにぎっしりと書き込んだエクセルシートを作成しました。
しかし、その後、また期間が空いてしまいます。今年の2月に目次案を上坂さんに送り、1度、打ち合わせをしましたが、その後、震災関係のメールをやりとりした以外は、何と7月まで連絡をとらない状態でした。上坂さんには、随分と辛抱強く、待っていただいたなと思います。実は、当社では例年、年の前半に集中的にコンテンツ開発を行います。開発メンバーが講師を兼ねているため、年の後半になるとメンバー全員の集まれる日が、ほとんどなくなってしまうからです。その時期には、同時に何本も並行して、研修コンテンツの開発を行います。
社外には公開していませんが、当社では講師ガイドを重視しています。研修で講師が説明する内容やワークの進め方などを、一言一句、講師ガイドに記述します。そうしないと、研修内容を開発メンバー全員で正確に共有できないからです。最初に講師ガイドから作成して、テキストやワークシートは最後に作ります。つまり、研修コンテンツを作成する作業自体が、本を書くのと同じようなことなのです。さすがに、その作業と同時に、本を執筆するのは困難です。
けれども、本の内容と研修コンテンツの内容には、当然のことながら共通点が多いため、開発メンバーと対話を重ねる中で、本のアイデアも膨らんでいきます。思い浮かんだアイデアをメモに書き留めます。最近は、Evernoteという便利なツールがあるので、パソコンからでも、スマートフォンからでも、メモに書き足していくことができます。そうしてようやく執筆を開始したのは、7月に入ってからでした。この段階でアイデアは、ほとんど熟していたため、原稿執筆に要した期間は1か月半のみでした。
ところが、その後がまた、たいへんです。前作もそうでしたが、まず、伝えたい内容を書き上げてから、本のタイトルを考えるため、タイトルがなかなか決まりません。読者個人に目線を合わせたタイトルの方がよいか、会社のコミュニケーション変革に焦点を当てた方がよいか、軸が揺れ動き、なかなか決まりません。ちなみに、ボツになったタイトル案を幾つかご紹介しておきましょう。
(個人目線)
『「ひらめき」を呼ぶコミュニケーション』
『「気づき」を起こす対話の法則』
『アイデアはコミュニケーションから生まれる』
『言葉の意図を読み取る方法』
『成果を生み出すコミュニケーションの方法』
(会社目線)
『コミュニケーションが変われば、会社はまだまだ成長する』
『うわべだけのコミュニケーションが会社を衰退させる』
『コミュニケーションが変われば、会社は変わる』
『コミュニケーションを変えられない会社に明日はない』
『伸びる会社のコミュニケーション』
ああでもない、こうでもない、と悩みに悩み、結局、最終的にタイトルが決まったのは、表紙のデザインができる直前の9月27日のことでした。タイトルはどちらかというと個人寄りの目線にして、帯に「会社はまだまだ伸びる」と会社目線のメッセージを入れることにしました。ともかく、完成してよかった。ご一読いただければ、たいへんうれしく思います。