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[対談]ダイバーシティ研修の過去・現在・将来①「過去10年の企業の取組みの変化」

[2016.06.21] 佐藤 綾子 (ファシリテーター)  プロフィール

今回から3回にわたって、ダイバーシティ研修の開発と講師に取り組んでいる弊社ファシリテーターの佐藤綾子と弊社代表取締役の松丘啓司の対談を掲載します。


 過去10年の企業の取組みの変化

松丘:佐藤さんは2005年にエム・アイ・アソシエイツに入社して以来、女性のキャリア開発やダイバーシティ関係の仕事にずっと取り組んできていますが、ここ10年くらいで企業のダイバーシティの取組みにどんな変化があったでしょうか?

佐藤:2005年は女性向けキャリア開発セミナーの公開コースを立ち上げた時期で、その事務局が私の最初の仕事でした。当時のセミナーには、バリキャリになりたいとか、仕事をすごく頑張りたいとアンテナを張っている女性たちが、自らお金を出して参加していました。会社の中での活躍というよりも、「仕事で成功したい」「どのように活躍するか」というモードで参加されている方が多かった印象でした。

taidan1_sato.jpg2005年~2008年頃の企業での女性キャリア研修では、人事側のニーズとして女性社員をまんべんなくモチベーションアップしてほしいと依頼される機会が多くなりました。いろいろな人がいる中で仕事を楽しんでほしいとか、モチベーションを高めましょうとかいったやわらかい応援メッセージを発信するような、半日~1日のイベント的に実施するものが多かったと思います。活躍して下さいとか、管理職になって下さいというのではなく、今の仕事の中でやりがいを感じてほしいとか、楽しみながら充実感を持って仕事をしましょうねとかいったトーンで、受講後に少しでも前向きになってもらうことをねらいとした研修が中心でした。

松丘:就業継続が主なねらいだったのでしょうか?

佐藤:一つには、そう思います。ポジションがどうこうとかじゃなくて、長く働き続けて欲しいと。制度的なアプローチだけではなく、女性たちも楽しいとか、やりがい感じながら、会社や仕事に愛着を持って欲しいという意図があったと思います。

taidan1_matsuoka.JPG松丘:2000年代の後半にダイバーシティ研修に取り組んでいた企業は、そうはいっても先を行っていた、女性活躍では進んでいたほうの会社ですよね?

佐藤:そうですね。その頃は、一般職から総合職、基幹職に職掌転換をうながすメッセージの研修が印象に残っています。おそらく先を行っていた会社だと思います。就業継続の延長として、戦力として女性たちにより活躍して欲しいという意図を感じました。

松丘:なるほど。女性を戦力化するというのが本当のねらいだったのですね。

佐藤:企業の置かれているステージによってニーズや意図は異なりますが、自分から仕事の幅を広げて欲しいとか、リーダーとして束ねる存在になって欲しいとか、そういうスタンスを植え付けるメッセージを求められるキャリア研修が多かったと思います。

ですから、一般職向けの研修では、自分は総合職になりたいと思っていないのに、なぜこういう研修を受けさせられるのかと、ネガティブなモードで来られる方も結構いましたね。研修を受けて、総合職になるという道もあるんだと前向きに転換する人と、そうならない人がいたことを記憶しています。

松丘:そこの過渡期の時期は、おそらく会社の方針についてこられない人がいてもしかたないなという考えが企業側にもあったのかも知れませんね。

佐藤:そうかもしれません。一方で、会社としては女性の取り組みをやっていることを打ち出すことで、企業イメージ向上や採用に繋げたいという想いも背景にあったのかなと思います。

松丘:その後、2010年を過ぎて、どういう変化が見られました?

佐藤:企業のニーズとして女性を戦力化したいという想いが強まったと同時に、管理職をつくらなければという目標が会社の中で設定されて、女性が戦力として頑張るだけじゃなく本当に管理職になってもらわないと困る、という意図で研修を依頼されることが増えてきたと思います。特にここ3、4年ですかね。

松丘:アベノミクス以降ですね。

佐藤:そうですね。数値目標もありますが、女性管理職を作るために研修も実施して、足りないものを補っていかないといけない。本気度が変わったというのでしょうか。会社にとって、女性に限らず一人ひとりの能力を活かさないと本当に経営として立ち行かなくなってしまう。このままではイノベーションを起こせないとか、新たな方向性を作るブレークスルーが起きないといった認識が経営陣の間でも進んできたと思います。

松丘:現在では、経営陣の認識が進んでいる会社とそうでない会社が二極化してきている感じがしますね。

佐藤:それはあると思います。ダイバーシティを推進する上で、経営陣のコミットメントは不可欠で、会社の本気度が試されます。単に1回研修を実施しただけでは、根付いていきません。会社として本気で取り組み、女性だけでなく男性管理職の意識を変えていくことにコミットして、組織風土改革として取り組むというようなスタンスの会社と変革を真剣に考えていない会社の二極化が進んでいるという感じがします。

>>第2回へ続く


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