経営・人事コラム

人事コラム バックナンバー

インクルージョンとは「一緒に働きたい」と感じられること

[2014.03.17] 松丘 啓司 (代表取締役社長)  プロフィール

 

 この2月から3月にかけて、弊社では20社の企業を対象にダイバーシティ&インクルージョンに関するインタビュー調査を行っています。分析結果についてはレポートに取りまとめ、後日、あらためてご報告させていただく予定ですが、今回のコラムではインクルージョンについて少しだけ取り上げます。

 ダイバーシティとは組織の中に、さまざまな人の多様性を生み出すことであり、インクルージョンとは組織がそれらの多様性を受け容れて活かすことを意味しています。組織の中に多様性が存在しても、活かすことができなければ意味がありません。けれども、そもそも多様性を活かす力を有していなければ、組織の中に多様な価値観や指向性を持った人々が存在し続けること自体が難しくなってしまいます。

 ほとんどの大企業では、女性社員比率や女性管理職比率などのダイバーシティ面での指標を設定していますが、インクルージョンの指標を測定している企業はまだ一部です。もちろん、インクルージョンの度合は人数のように数えられるものではないため、測定の方法は若干、感覚的にならざるを得ません。オーソドックスなやり方は、従業員満足度調査などにインクルージョンの充足度を尋ねる質問項目を含めることです。今回の対象企業の中でも、数社がその方法で定期的に指標を測定していました。

 では、どのような質問項目を含めればよいのでしょうか。質問を考えるに当たっては、インクルージョンが実現されている状態が、どのような要件を満たす状態かを定義する必要がありますが、そう尋ねられても今一つピンとこないかも知れません。むしろ逆に、インクルージョンが存在しない組織とは、どのような組織なのかを考えた方がわかりやすいと思います。

 この問いに対しては、以下のような回答が幾つもすぐにあげられるでしょう。
「多様性(たとえば女性)を活かすことの必要性が理解されていない。無関心」
「同質的な集団。以心伝心や暗黙知が多く、異質な人が入って行きにくい」
「上から下に命じればよいのであって、上司が部下の考えを理解する必要はないと思っている」
「違った意見を受け容れようとせず、はねのける」
「自分に理解できない相手は、面倒な使いにくい人と考える」

 自分の所属する組織が、これらの声の幾つかに該当するとしたら、インクルージョンができていない可能性があります。逆に、インクルージョンが実現されている状態は、これらの反対をイメージすればよいでしょう。つまり、「多様性を活かす必要性が理解されている」「上司が部下の考えを理解しようとする姿勢を持っている」「自分と違った意見も聞き入れようとする」といった具合です。

 ただし、これらは多様性を受け容れる側の組織や上司の状態を指しています。他方で、多様性を持った異質(たとえば女性や外国人)の側の状態は、どう表現すればよいでしょうか。その状態を端的に述べるなら、女性や外国人が、受け容れる側の人々によって受け容れられていると感じている状態を指します。つまり、「この人たちと同じチームで一緒に仕事をしたい」と心から感じられる組織が、インクルージョンの実現度合が高い組織と言えるのではないかと思います。

 

» 経営・人事コラムトップに戻る


お問い合わせ・資料請求
人材育成の課題
キャリア開発

キャリア開発

個人の働きがいと組織への貢献を両立するキャリア開発を支援します。

リーダーシップ・マネジメント開発

リーダーシップ・マネジメント開発

マネジャーに必要不可欠なリーダーシップとマネジメント力を養成します。

コミュニケーション開発

コミュニケーション開発

組織や仕事に変化を起こすコミュニケーション力を養成します。

組織開発

組織開発

ビジョンと価値観を共有し成果を高める組織創りを支援します。

営業力開発

営業力開発

お客さまと自社の双方に大きな価値をもたらすことのできる提案営業力、組織営業力を開発します。

経営力開発

経営力開発

ビジネスプランの立案に必要となる知識と実践的なスキルを養成します。

人事向けメルマガ登録

PAGE UP