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最近の企業研修 ― 管理職向けキャリア開発支援

[2013.11.17] 松丘 啓司  プロフィール

 ここ数年、管理職に対するキャリア開発支援研修の依頼が増えています。最近では対象者がミドルマネジャーだけではなく、経営幹部に及ぶことも少なくありません。その背景には、上司の部下育成力を高めたいという企業のニーズがあります。

 部下育成といっても、上司の経験に基づいて業務上のアドバイスを行ったり、技術を伝えたりすることばかりではありません。それ以上に、部下自身の成長に対する意欲を引き出したり、自律的に考える力を高めたりする働きかけの方が重視されている面があります。つまり、部下本人によるキャリア開発への取り組みを、上司が促し、協力するような支援が求められているのです。


 まず、上司自身のキャリア開発について考える

 キャリア開発とは、仕事を通じて、自分らしい成長を続けるプロセスと定義されます。多くの経営者は、社員が働きがいを高めながら、会社に対してより貢献できる存在になってもらいたいとの思いを持っていますが、それが実際に可能になるためには、職場のマネジャーの役割がたいへん重要になります。

 会社によってはキャリア面談制度を設けて、上司による部下のキャリア開発支援を推進していますが、制度を設けるだけではなかなかうまくいきません。キャリア面談が目標管理面談と同じになって、形骸化しているという声もよく耳にします。マネジャーたちは、これまで自分のキャリア開発について考えたことがなく、また過去の上司からも教えてもらったことがないため、何を話せばよいのかよくわからない、というのもし方のないことです。

 そのため、管理職層に対する研修が必要になります。キャリア開発支援研修では、部下に対する支援を行う前に、まず上司自身のキャリア開発について考えます。そのステップがないと、キャリア開発の意義について実感できないからです。上司が実感できていなければ、面談スキルだけを高めても、部下に対する支援が形式的になってしまいます。


 上司のモチベーションを再起動する

 ほとんどのマネジャーは、会社から与えられた役割や評価基準に従って、これまでのキャリアを歩んできました。それはビジネスパーソンとして当然のことですが、自分の内的な働きがいの基準をあまり意識せず、自分の外側の基準ばかりを重視してきたために、自分自身を内省することができていません。

 会社の中でのポジションが高まるにつれ、自分の限界が見えてくるマネジャーが数多くいます。これより上は難しいと、いわば「上がり」の意識を持って保守的になってしまっている人も少なくないでしょう。そのような状態は、会社にとっても本人にとってもプラスにはなりません。

 研修の中で、マネジャーはまず、自分本来の動機や価値観に気づきます。その上で、周囲から自分に期待される役割と、自分が本来、大切にしたいことを重ねあわせて、これからのキャリアビジョンを思い描きます。その過程を通じて、もっと自分らしく会社に貢献できる、自分ならではのキャリアのあり方が見えてきます。

 多くのマネジャーは、今まで狭い範囲でしか自分のキャリアについて考えていなかったことに気づき、閉塞感が払しょくされ、モチベーションが再起動します。その上で、部下に対するキャリア開発支援について学習します。部下とのキャリアに関する話し合いは、前回のコラムでも紹介した「対話」によって行われます。上司が自分の内発的な価値観を理解することによって、部下の価値観を理解する力も高められるのです。


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