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不調なときほど強みを意識しよう-「内の軸とは」(その3)

[2013.07.08] 松丘 啓司  プロフィール

 誰にでも好調、不調の波はあるものですが、中堅社員からマネジャーになるほど、その影響を受けやすくなる傾向にあります。企業で思考・行動特性の分析を行うと、管理職が自分自身の気持ちや行動を安定させる力は、非管理職よりも低いという結果が頻繁に見られます。それほど、管理職に対する外からのプレッシャーが大きいことが要因と考えられますが、成果をあげることが容易ではないことの表れでもあるでしょう。

 若手の社員にはスキルアップの伸びしろがあります。仕事で必要とされる自分のスキルが高まるにつれて、より大きな成果を達成することが可能です。多くの管理職の人々は、そのような成功体験を有しているでしょう。けれども、スキルアップは際限なく続くものではありません。特に管理職ともなると、自分のスキルを磨くことよりも、部下のスキルを高めることの方が求められるようになります。

 成果が出なくなったとき、何とかしようとひたすらがんばっても、一向に成果があがらず、疲弊感ばかりが増していくといったケースも少なくないでしょう。そのようなとき、いったん立ち止まり、そもそも成果はどうやって生まれるのかを考えてみることが必要です。仕事の成果はお客さまに貢献することによって得られます。また、仕事は1人で行うものではないために、チームに貢献することが求められます。自分は何によって貢献できるかを、あらためて問い直してみることが必要です。

 他者に対して、自分ならではの貢献をするためには、自分自身の強みを活かさなければなりません。その強みとは、何か専門的な知識やスキルを有しているということ以上に、自分がどのような思考・行動特性を持っているかを意味します。とにかく行動力がある人もいれば、原因を分析する思考に秀でた人もいます。あるいは、対人関係を円滑にすることが得意な人もいるでしょう。その強みを活かして、他者に対して貢献する方法を考えることが必要なのです。

 成果が出なくなったとき、自分の弱みを他人から指摘されたり、ライバルとの比較で自分の弱みが目についたりして、自信をなくしていくという負のスパイラルに陥ってしまうこともあるでしょう。弱みを改善することは不要とは言いませんが、他者に対して大きな貢献ができるのは自分の強みによってのみです。

 1人ひとりの思考・行動上の強みは、その人の内的動機や価値観(=「内の軸」)と密接に結びついています。なぜなら、自分が大切にしている価値観に沿った思考や行動は、自然と現れるからです。たとえば、本質を探究することを重視する価値観を持っていたなら、おのずと物事の原因を分析する力が高まるのです。成果が出ないときほど、自分にとっての「内の軸」をじっくりと内省することが重要です。ただ、あせって行動することよりも、自分らしく周囲に貢献することが、成果への近道になるはずです。

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