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- 【コラム】変革は1人ではできない-「内の軸」とは(その2)
組織とは、2人以上の人の集まりなので、組織における変革が1人ではできないのは当然のことです。けれども、その当然のことを見落としているリーダーが少なくありません。
どんなに些細な変革であっても、リーダー1人で組織の変革はできません。たとえば、近頃、不注意なミスが増えていることが問題になっている組織があったとします。その問題を解消するために、「ケアレスミスをなくそう」とリーダーが声高に主張したり、「ミスをするな」と命令したりすると、一時的にミスは減るかも知れません。しかし、その時、状況が改善したとしても、すぐに元の状態に戻ってしまいます。
ケアレスミスをなくすためには、組織の1人ひとりがそのことを意識しなければなりません。ミスをするのは、1人ひとりのメンバーだからです。そのため、「なぜ、ケアレスミスをしてはならないか」という理由について、各人が自分なりに納得しなければ、根本的にミスはなくなりません。つまり、このテーマは、個々人に関わる問題なのです。
ミスを避けようと心から思うとするなら、その理由は1人ひとり皆、異なります。たとえば、ある人は、「自分がミスをすると、他の人が困る。人に迷惑をかけないために、自分が注意しなければならない」と考えるかも知れません。また、ある人は、「ミスをするのは、仕事が不完全ということだ。プロとして、中途半端な仕事はしたくない」という思いで、細心の注意を払うようになるかも知れません。それは、個々人の価値観の問題です。
「ケアレスミスをなくす」というような日常的な変革であっても、組織の目標を実現するためには、1人ひとりが何を大切にしているかという価値観に基づいて、自分なりの意味づけをするようになることが不可欠です。その個々人の価値観が、「内の軸」です。
「個人の価値観を尊重していると組織はバラバラになるのではないか」という疑問を持つリーダーがいますが、それは思い違いです。逆に、組織としての共通の目標を実現するためには、1人ひとりが自分の「内の軸」を活かすことのできる状態を創り出すことが重要なのです。