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あなたは恒温動物?それとも変温動物?-「内の軸」とは(その1)

[2013.06.02] 松丘 啓司  プロフィール

 研修の場で受講者のモチベーションチェックをしばしば行っています。各人の置かれた状況によって、モチベーションが高い人もいれば低い人もいますが、仕事でモチベーションを下げている人に理由を聞くと、そこには類似の傾向が見られます。

 たとえば、景気が悪化してボーナスが減った。業務量が増えて疲弊気味である。組織が変わって自由度がなくなった。転勤させられたが前任者の残した問題に苦労させられている。製品のトラブルが多発して顧客からのクレーム処理に追われている、などなど。つまり、モチベーションの低下要因が自分の外側にあるのです。自分の外側とは、自分にとっての外部環境です。

 話は変わりますが、野生のホッキョクグマは北極圏に生息しています。そこは、平均気温が氷点下の世界です。けれども、ホッキョクグマは暑い国にもいます。シンガポール動物園のホームページを見ると、トップにホッキョクグマの元気そうな写真が載っています。シンガポール動物園は赤道のほぼ直下にあります。

 なぜ、ホッキョクグマが北極圏でも赤道直下でも生きていけるかというと、ホッキョクグマが恒温動物だからです。ご承知のとおり、恒温動物とは置かれた環境に応じて体温を一定に保つように、自律的に調節することができる動物です。

 逆に、熱帯地方に生息いるトカゲやカエルを北極圏に連れて行くと、生きていくことはできません。自律的に体温調節する機能を持っていない変温動物は、氷点下で水分が凍結し、細胞が破壊されてしまうからです。環境変化によるダメージを、致命的に受けてしまうことになります。

 モチベーションの話に戻しましょう。モチベーションの変動についても、恒温動物と変温動物のたとえと同じことが言えます。自分のモチベーションの状態が外の環境に依存していると、たまたまフォローの風が吹いているときはよいのですが、環境が変わって風向きがアゲインストになれば、簡単に自分のモチベーションが低下させられてしまいます。外の環境変化は、ほとんどの場合、自分でコントロールすることができません。そのため、環境変化に期待していたなら、自分のモチベーションは他律的になってしまうのです。

 自分のモチベーションを自律的に維持したり高めたりするためには、動機付け要因を外に求めるのではなく、自分の内側に求めなければなりません。それが、「内の軸」です。それは、自分がもともと持っている内発的な動機の源泉です。そのため、自分の「内の軸」が何か(=自分が何によって駆り立てられるか)を理解していなければ、自分をコントロールすることはできません。

 不透明な環境を表す表現として、最近、欧米ではVUCA(ヴカ)という言葉がよく用いられます。Volatility(不安定)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字を繋げた言葉です。今後、環境変化はますますVUCAな状態になっていくでしょう。それを止めることは誰にもできません。けれども、環境がどう変わろうと、それをどのように受け止めるかは自分次第です。環境変化を悪者にしても、何もメリットはないと考えた方がよいと思います。

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