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- 【コラム】多様性を活かす4次元思考 第4回:4次元で「ビジョン」を示す
連載は4次元思考がテーマなので、4回目の今回で最終回です。
最初に再度、これまでの3回について、振り返っておきます。
1次元:価値観の違いは、一つの直線上のそれぞれ別の地点として表されました。それによって、
違いが明確に「認識」されました。
2次元:直線上では交わることのない価値観の違いを「調和」させるために、マトリクスという面を
用いて考えました。相互に「尊重」する状況があれば、違いは調和され、進歩が生まれ
ることを検証しました。
3次元:2次元の調和が組織内でランダムに起こるのではなく、共通のベクトルを得るために、
組織としての「共有」価値観が必要であることを述べました。それは、いわば立体的な
空間で違いを調和させることです。
4次元思考の4回目は、「時間」という視点を取り入れることです。
人は価値観によって選択をします。論理的な分析によって、AとBの2つの選択肢が導き出されたとした場合、どちらを選ぶかは価値観に従います。人が「何を大事にし、何に優先度を置くか」を判断する基準というのが、価値観のそもそもの定義だからです。その時々で、Aを選んだり、Bを選んだりする人は、いわゆる「軸がぶれる」人です。軸がぶれない人は、自分の価値観をよく理解しています。
「未来」は現在における選択の結果、生まれます。人が価値観によって選択を行うならば、人の未来は価値観に依存することになります。組織がしっかりとした共有価値観を持ち、一人ひとりがそれに従って選択を行うならば、組織の未来は、共有価値観によって決定されていきます。
価値観に基づく選択が未来を決めるために、選択がもたらす変化が大きければ大きいほど、人は選択に対して慎重になったり、不安になったりします。みずからの価値観が見えていなかったり、確固とした信念がなかったりすると、人は往々にして、選択基準を「外の世界」に求めてしまいます。
上司に言われたとおりにやる。権威のある人が言っているからそうする。他の人もそうしているから...、といった「外の軸」を判断の基準にしてしまうと、受け身の状態に陥ってしまいます。そうなると、変化を起こすのではなく、変化の結果を受け入れることになります。その結果、生まれる未来は自分にコントロールできないものになってしまいます。
したがって、自分(たち)で自分(たち)の未来を作りだしたければ、みずからの価値観に基づいて選択しなければなりません。その勇気を持つためには、次の問いに答えられる状態であることが必要です。
「この選択は、何のための選択なのか?」
「この選択をしたら、どこに辿り着くのか?」
それに答えるのが、組織の「ビジョン」です。