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顧客と同じ船で川を下る ~「成功する」提案営業の進め方 (2)~

[2007.10.30] 松丘 啓司  プロフィール

>>提案営業とはそもそも何か? ~「成功する」提案営業の進め方 (1)~内容はこちら

顧客と同じ船で川を下る

「買う気の無い人に営業しても時間のムダだ」という発言をときどき耳にしますが、それは本当でしょうか?実は提案営業は、買う気のある人には必要ありません。既に何かを買いたいと思っている人が必要とするのは提案ではなく、価格や納期といった具体的な条件です。明確な購買意思を持っている顧客には、競合他社も同じくアプローチをしてきます。顧客の側で競合他社と競わせて有利な条件を引き出すこともできます。その意味で、明確な購買意思を持っている顧客に対する営業は、一見、効率が良さそうですが、実際は競争に陥りやすく、一生懸命やってもなかなか儲からない可能性が高いのです。それを避けるために、顧客がまだ明確な購買意思を持たない段階からアプローチすることが必要です。

 何かを購買するに至る顧客の意思決定の流れを川の流れに例えると、既に明確な購買意思を持っている段階というのは流れの下流にきています。それに対して上流段階で顧客が持っているのは、明確な購買意思ではなくて、非常に曖昧な課題です。たとえば、意思決定の下流でオフィス家具を購入したという顧客がいたとすると、その顧客が上流段階で持っていた課題は、組織を活性化したいということだったかもしれません。組織を活性化したいという課題を持っているけれども、必ずしもその段階ではオフィスのレイアウトを変えて組織を活性化しようとは思っていない可能性があります。もしかすると、社員旅行に行くという解決策に至ることもあり得ます。

 そのような曖昧な課題は、意思決定の流れを下るに従って、だんだんと明確な課題になり、その課題に対して具体的な解決策が明らかになり、下流の最終段階で購買の意思決定をすることになります。そのため上流段階で、顧客が求めているのは具体的な商材ではなく、課題に対する解決策、すなわち提案なのです。したがって、提案営業は常に顧客の意思決定の上流から行われるものです。

 顧客の曖昧な課題に対して提案を行うということは、簡単なことではないと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。重要なのは難しい提案を行うことではなく、顧客視点に立って顧客の意思決定の手助けをすることです。いわば顧客と同じ船に乗って一緒に意思決定の川の流れを下る過程で、次第に信頼関係ができあがっていくのです。

(続く)

【出展元:Business Risk Management 2007 December】

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