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【東京大学・中原淳准教授と語る】リーダーシップの未来(最終回)

[2010.12.06] 中原 淳 (東京大学 大学総合教育研究センター 准教授)

東京大学 大学総合教育研究センター 准教授の中原淳先生と弊社代表取締役の松丘啓司の対談は今回が最終回です。司会は、戦略的人材マネジメント研究所代表で中央大学大学院 戦略経営研究科 客員教授の楠田祐さんにお願いしました(以下、敬称略)。


 リーダーシップの世代継承をどのように実現するか?


中原:職場の中のリーダーシップって、ある時はこの人がリーダーになって、ある時はリーダーだった人がフォロワーだったりして、それが交互に行われるのが常態じゃないですか。常に誰かが引っ張っていく、常に誰かがフォローしていくというよりは、相互にリーダーとフォロワーを担い合いながら動いているというのが現状だとする場合に、やっぱり一人だけ誘導してもし方がないという気がします。

松丘:それに加えて、実際のところ、企業の中でリーダーとして本当にリーダーシップを発揮できる人材を作るには10年かかると思います。なので、まずは中堅のリーダークラス、30代のリーダークラスを育成するために、新人が入った時からどうやって育成するのかという10年計画れを持たないといけないと思います。

楠田:長期計画ですね。

松丘:さらにそこから先、経営幹部に行くところまで、どうやって育成するのか。育成の仕方は違ってきますけれども、そこまで必要になると思います。

中原:そうですね。それを受けた人がまた少し偉くなって、また変えていくくらいの感じですね。そういう意味でいうと、それはまたリーダーシップの世代継承性が問題で、ある一定の期間だけだと、あまり効果がないように思います。

楠田:これはやっぱり、リーダーがリーダーを育てるということですか?

中原:組織の中ではやっぱりそうなると思います。たとえば、ある人がリーダーシップを発揮する機会を与えられた時に、より上の人がコメントやアドバイスを与えられる環境にあるのか、というのが重要です。だとするならば、上の人はリーダーであるべきだと思います。だって、この上司はリーダーシップを発揮してないなぁという人に、お前リーダーシップ開発しろと言われても腹が立ちませんか?あなたに言われたくないって。

楠田:順序が逆ですね。

中原:だからリーダーは常に、本人が望むとも望まないとにも関わらず、観察されているということです。その場合、下の人が受けたリーダーシップの研修と、上の人を観察した時に見えてくる人物像があまりに違ってくると、一気に嘘くさくなると思うんです。

 多分、うまくいっている組織はそこがあまりブレてないというか、上の人が発揮しているリーダーシップの姿も、自分がリーダーシップの研修や開発の機会に、こういう風に変わろうと言われている像もあまり違わないのだと思います。

楠田:さっき言っていた、上の人からリーダーシップ開発をやるというのはやっぱり絶対に重要で、下の人たちがああいうリーダーになりたいと思っていれば、無意識にその人も学んでいける。

松丘:ああいうリーダーになりたいと思っても、なかなか、そのとおりにはなれないと思いますが、そのとおりにはなれなくてもいいけれど、自分ならどうやってみようと考えることが重要だと思います。

中原:上の人がやるのは経営の話そのものでもいいわけですよね。役員の人たちが一定期間、集まってこれと同じことを、リーダーシップの開発という名前じゃなくてもいいからやった方がいいのでしょうね。

松丘:名前は、経営ワークショップでも何でもいいと思います。

中原:それで、その中でやられている内容というのが、下の人の研修内容と連携してくると、結構、シナジーがあるかもしれないですよね。

松丘:要するに、その組織内のコミュニケーションというのは、結局、企業の場合は経営層がそれを決めていると思うんですね。どういうコミュニケーションはよしとするとか。どっちの方向に向けてコミュニケーションするとかいうのは最終的には経営層が決めるので、そこが変わらないと、ミドルから変えていくというだけでは、やっぱり苦しいですよね。どっちみち、こういう内容は、役員層とか、部長以上にとっては、研修があろうがなかろうが考えないといけないことだと思います。

>>(続き)コミュニケーションをルーチン化したいという誘惑に打ち勝つ力

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