いつの間にか年末です。あわただしく過ごされている方も多いのではないでしょうか。

　さて皆さん、今年のご自身の目標は何でしたか？どんな一年にしたいと思ってスタートしたのでしょうか。年初には気合を入れて目標を立てたものの、日常の忙しさでついその目標が記憶のかなたに・・・なんて方も多いかもしれません。目標設定はとても大切です。ただ漠然と日々を過ごすのではなく、自分なりのテーマを持って生活する。この習慣をもてるかどうかで、日々の生活の濃密さや成長の度合いが変わってきます。

　でも、目標を立てて終わりではなく、「そして実際にはどうだったのか？」を振り返ることが実は重要なのです。でも、私たちはこれをあまりやりません。"振り返ることで学ぶ"。これをぜひ2009年の締めくくりにやってみてください。2010年をいい年にするためにも、この1年が自分にとってどんな年だったのか、どんな変化があったのか、どんなことを感じたのか、振り返ってみましょう。そしてインパクトのあった出来事の意味を自分なりに考えてみてはいかがでしょうか。今回のコラムは、私の1年を振り返ってみたいと思います。

　私は今年、チャレンジをたくさんし続けることにこだわりました。新しいこと、苦手なこと、難しいこと・・・機会があれば躊躇せず一歩踏み出すことを心がけ、仕事でもプライベートでも、思い切ってやってみることを大切に過ごしてきました。

　今年はとても忙しい毎日でしたし、正直なところ大変なことが多く、毎日目の前のことにぶつかっていくことの繰り返しでしたが、改めて振り返ってみると、チャレンジしたことによって得るものがたくさんあった一年だったと思います。ここ数年、忙しいからという理由で先延ばしにしてきたことがいくつかあったのですが、それにトライしてみたことで自分の世界が広がった感じがします。そして、そういったチャレンジの経験を通して、自分が生きるうえで大切にしていきたいことを再確認できたり、今後自分がどんな分野でもっと力を発揮していきたいのか、という新しいテーマにも気づくことができました。自分で決めたことは自分との約束です。それをきちんと守れたことで、一つ自分に対しての自信がついたように思います。

　また、楽しい経験よりも苦しい経験のほうが多かったような気がします。自分がやっている講師という仕事や研修について深く考えさせられることが多く、常に自分自身のあり方を問い続ける日々でした。よく「人は修羅場で成長する」と言われますが、そういう意味ではありがたいことに、成長や学びの機会が多くありました。

　ちなみに、今年私が仕事で修羅場だと思った経験は3回あります。とても自分にとってはインパクトのある出来事でしたし、どれも思い出すと苦い感覚が沸き起こり、自分がとった行動、下した決断が最善だったのかという自分への問いかけが始まります。ただ、それらの経験を通して、私は自分の信念や仕事への誇りに気づくことができましたし、今度同じようなことがあったらこうしたい、という目標も持つことができました。こういう経験がこのタイミングで起こったのにもきっと意味があるのだろうな、とも感じており、自分自身のあり方を問うためのよい機会だったと思っています。

　これらの経験を通して、講師として自分が教えているコースの内容を自分が体現していかなければ、という思いがより強くなりました。よく言われることですが、"知っている"と"できている"は違うことであり、では私はちゃんとできているだろうか、と振り返りながら、できていない自分と向き合うことを強く意識するようになりました。もちろん、自分のいやな部分を見るのはとてもしんどいことです。けれど、そこから自分の成長や行動変容が起こるのだと私は考えています。まだまだ道は途中です。自分自身のあり方を問う日々はこれからも続きます。

　毎日目の前のことに必死だったり、その都度いろいろなことを感じながら試行錯誤で仕事をしていると、自分自身の成長がよくわからなかったりします。けれど、改めてちゃんと振り返ってみると、1年前の自分とは明らかに違った自分がいることに気づきます。今の自分は、過去のその時々の自分が一生懸命に生きてきた証です。毎日を精一杯がんばってきた自分をねぎらい、来年はどんな自分と会えるだろうかとわくわくした気持ちを持ちながら、新たな目標に向かって前に進んでいきたいと思っています。