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仕事のストレスを人生のスパイスに変える処方箋(2):あえてストレスを「分析」してみよう

[2009.09.30] 佐藤 綾子  プロフィール

 本コラムでは、仕事や人生をもっと豊かなものにしていくために、ストレスとうまく付き合う方法を考えているのだが、今回は、特に"上手に"悩んでキャリア成長につなげる、という観点で書いていきたい。


 悩むことは成長の機会である

 まずみなさんに、悩むことをネガティブなことではなく、成長の機会として捉えなおしていただきたい。仕事をしていると順調に行かないときも多い。しかしそういうときこそ、実は自分がチャレンジやストレッチしようとしている成長の機会なのだ、と捉えなおしてほしい。「今は辛いけれど、現状の自分を抜け出す一歩を踏み出しているのだ」と考えることで、その後の流れが変わってくるはずである。ピンチはチャンス、という視点の切り替え、発想の転換が重要である。

 少し話はそれるが、「仕事を楽しむ」という感覚は満足のいくキャリアを築いていく上でとても大切なポイントであるが、中には「仕事が"楽しい"」=「仕事が"楽"」になっている人もいるように感じる。仕事が楽しいのはもちろんすばらしいことであるが、"楽"になっていないか、"楽しさ"の質を考えてみてほしい。惰性や甘さにならないように、自分で適度なチャレンジやプレッシャーを作り出すこともキャリア成長には必要だということを忘れないでほしい。


 過去と他人は変えられない、変えられるのは自分だけ

 話を戻すと、悩むことは成長の機会である、と先ほど述べたが、実際には、私たちはストレスを感じると、嫌な現実を見ないようにして自分の気持ちを紛らわせたり、または「しょうがないから」といって簡単にあきらめたり割り切ったりすることが多い。または、原因を他人のせいにして、自分を被害者にすることで正当化させようとすることもある。

 こういった行動を取ると、一時的には楽だし、自分のストレス状態は緩和されたように思える。しかし、実際には問題を先送りしたり、放置していることにもなるので、実際には、事態がもっと深刻になったり、何倍にもなって後から自分のところにはね返ってくることもある。だからこそ、問題が小さいうちに、まず自分で対処できることはないのかを考えてみてほしい。また、自分の状況を嘆き、原因を他人のせいにして不平不満を口にしていても何も事態は変わらない。不平不満を言うエネルギーをもっと建設的に使ってほしい。

 よく言われるフレーズだが、過去と他人は変えられない、変えられるのは自分だけ、なのである。状況を打開するために、やはり自分自身ができる対処方法を考えてみることが大切である。

 嫌なことが起きたとき、そのまま見ない振りをしてやり過ごしたり、原因を他人のせいにして不平不満を言いながら日々を過ごしたりするのと、自分自身が招いた事態だと真摯に受け止め、自分自身でできることを考えて少しでも解決に向かおうとするかでは、大きくその後の流れに違いが出てくる。辛いことがあるとすぐにあきらめたり割り切ったりするのは、自分の成長の可能性を閉ざしたり放棄したりすることかもしれない。


 あえて自分のストレスを「分析」してみよう

 では、ストレスや悩みに対処する方法を考えるステップをご紹介したい。以下のステップを踏みながら、ストレスを感じている状態を漠然としたままで終わらせずに「見える化」してほしい。

 【ステップ1】悩んでいること、ストレスに感じていることを書き出して、問題を明らかにする

 【ステップ2】何に対してどう感じているかを整理する

 【ステップ3】原因を分析し、自分で乗り越える方法、解決するための具体策を考えてみる

 このステップを踏み、悩みやストレスに対して何の打ち手もないのかを考えるようにしてほしい。自分自身で何かしら対処できることがあるかもしれない。また、書き出してみると、中にはそれほど重大な悩みではなかったことに気づくこともある。

 もちろん、このステップで分析した結果、やはり自分の手に負えないことだから受け入れよう、あきらめよう、という結論に至ることもある。しかし、ただ漠然と悩んでいるだけだったり、見てみぬ振りをしてやりすごす、すぐにあきらめたり割り切ったりするのではなく、「問題や悩みと直面し、自分でできることがないかを考える」というプロセスを経ることに意味があるのだ。「この結論はいろいろな選択肢や方法を模索した中から自ら選択し、決めたものだ」という意識を持つことがとても重要なのである。

 ちなみに、この分析をすることで、自分自身がストレスを感じるパターンが見えてくることもあり、そういう面からも有効な方法なのである。

 ストレスと向き合ったり、悩みを分析したりするのは決して楽しいことではない。しかし、このプロセスこそが自らの学びであり、成長なのだ。ストレスを感じたり悩んだりするのは、一生懸命生きている証である。ぜひ悩みと"上手に"つきあっていってほしいと思う。

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