ここ最近、「人との関わり」について考えることが多い。リーダーシップやキャリアというテーマを考える上でも「人との関わり」はとても重要だし、そもそもよりよい人生を送るためにも欠かせない。多様な人同士が関わりあうことによって、新しい気づきをお互いに得たり、新しいものが生み出されたりする。

　しかし、人と関わるのは、簡単なようで難しい。なかなかわかりあえないし、そもそもエネルギーが要る。上司と部下でも、もちろん同様だ。

　実際、若手や女性向けのキャリア研修でも、受講生から

　「上司がちゃんと話を聞いてくれたら・・・」

　「上司が気にかけてくれたら・・・」

という声を多く聞く。たしかに上司のコミュニケーション力（特に聴く力）向上の必要性が多くの企業で言われているし、リーダーシップ研修としてコーチングスキルを学ばせるところも多い。

　しかし一方で、若手や女性たちに、上司に話を聞いてもらうための関わりをしているのかどうかとたずねると、積極的にはしていない、という声が多い。理由を尋ねると「上司なんだから、声をかけてほしいし、自分たちの様子に気づいてほしい」という"待ち"の姿勢が多いのだ。

　待っているだけでは、わかってもらえない。理解しあうためには、一方の努力ではなく、両者がわかり合おうと努力することが必要ではないだろうか。相手にわかってほしいと思うならば、若手や女性たちも、上司の歩み寄りを待つのではなく、自分から働きかける努力をしたほうが、むしろ早いのではないかと私は思う。

　泥臭いかもしれないが、今こそ必要なのは、上司と部下の本気の関わりではないだろうか。上司が「しっかり受けとめる」姿勢を見せるとともに、部下は「わかってもらう」発信をする。本気でぶつかってくる部下と本気でそれに向き合う上司、という関係性が、不可欠なのではないだろうか。

　キャリアは自分で切り拓くものだが、独りでは築けないものだ。他者をうまく巻き込んでいく姿勢が大切だということは、これからも強く伝えていきたいと思うし、自分自身のキャリアでも体現できるよう努力していきたい。