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- 【コラム】勝負どころで売れないビジネスマン
最近少し仕事が落ち着いて来て、日曜日には読書やビデオ鑑賞の時間を取れるように
なってきました。
10年以上ビジネスマンをやってきて今更ではありますが、こういう時間は大切ですね。
もう少し、ゆとりを持って仕事をしないといけないなと反省する今日この頃です。
さて、最近読んだ本やビデオから興味深いトピックを紹介します。
これって仕事にもつながるな~・・・・などとつい真剣に考えてしまうトピックです。
是非ご一緒に考えてみてください。
◇貧しい農家の娘の話
地主から多額の借金をしている貧乏農家の父娘に意地悪な地主が究極の選択を迫って
います。
「息子があなたの娘に好意を寄せているので是非結婚させたい。承諾すれば借金は
帳消しにする。断るなら今すぐに家と畑と借金を返してもらいたい。」
しかし、その娘には愛を誓い合った別の婚約者がいます。当然お金にあては無く借金を
返すことなどは出来ません。父娘が途方にくれていると再び地主が迫ります。
「決められないならこうしよう。今から我々の足元に無数に散らばっている白い石と黒い
石を1つずつこの袋に入れる。娘さんに袋から石を取り出させ、その石が白い石なら息子の結婚は諦めて借金も帳消にしよう。
その代わり黒い石なら借金の肩代わりに娘さんを頂く。
いずれにしても借金は帳消しだから悪い話ではないだろう。」
父親はどうにもしようがなく、うなずきます。
娘も目に涙を浮かべながら承諾しました。
地主はにやりと笑って地面に転がっている2つの石を袋に入れます。
しかし次の瞬間、娘だけが衝撃的な光景を目にします。
地主は『黒い石』だけを2つ袋の中に入れたのです。
このまま袋から石を取り出せば確実に黒い石を取り出すことになります。
地主の不正を追求したら、彼は激高するはずです。次に何を言い出すか分かりません。
まったく酷い話です。
あなたがその娘の立場ならどうしますか?
物語の中では文字通り劇的な結末が用意されていました。
娘は地主が持っている袋から石を取り出す瞬間に手を滑らせて石を地面に落として
しまいます。そして次のように地主に言います。
「地主様、本当に申し訳ございません。私ったら緊張して手が滑って石を落してしまい
ました。地面にある無数の石にまぎれて何色の石を取り出したか分からなくなって
しまいましたね。。。
でも地主様、大丈夫です。袋の中に残っているもう一つの石の色を確認すれば私が取り
出した石の色が分かりますよね。」
いかがでしょうか。なかなかやるな、と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この娘は選択肢が無いと思われたケースから新たな選択肢を作り出しています。
機転を利かせて事態を好転させた例です。
機転を利かせるということは、現状を的確に捉えて戦術や戦略を瞬間的に変更修正して
いくことです。大変勇気が必要な行為ですが、膠着した現状を好転させる時や不利な状況を切り抜けるためには有効な手段です。
ビジネスにおいても機転は非常に重要です。
特に客先で孤立無援となる営業職では新人の頃から、ある程度の瞬間的機転が
求められます。
上司や同僚がいない孤独な状況でも現場で解決出来ることは持ち帰らずにその場で
解決しなければなりません。
特に商談終盤の条件交渉時には機転は大変重要になってきます。
(時には「その場では判断しない」という機転も必要かもしれません)
例えば受注間際の条件交渉や値切り要求の場面おいて、なかなか状況が好転しない
状況が続くということは売り手、買い手の双方にとって良い状況とはいえません。
その状況を放置して顧客から断られてしまったり、一方的に言いなりになってしまう事は営業担当者として絶対に避けなければなりません。
そこで営業担当者には短い時間で方向修正して交渉を進めるという機転が必要になって
きます。
まさに機転こそが交渉の成否または営業実績を左右するといっても過言ではないのでは
ないでしょうか。
今後は営業担当者のこの様な課題を解決するための教育が必要になってくるかもしれません。
つまり機転を個々の営業担当者の『ひらめき』に依存せず、現場対応の『引き出し』を増やすような教育です。
機転が商談を成功に導いた事例を関係者で共有する。
顧客心理を学び、合理的に機転を利かせる。
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等々、他にも幾つかやり方があるかもしれません。
機転を利かせて会社に莫大な利益をもたらすのは営業担当者ですが、
機転が利かずに利益を消してしまうのも営業担当者です。
皆様の会社では何か特別な取組みをなさっていますか?