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定年制度の意味

[2007.07.31] 田島 俊之  プロフィール

先日の新聞記事で、定年制を採用している企業のうち継続雇用制度を導入している企業が一年前に比べて13.9ポイント増の90.2%となり過去最高となったことが報じられていた。このうち定年退職後に再雇用する再雇用制度は77.6%、退職せずにそのまま働く勤務延長制度は23.5%、両制度併用型が 10.9%とのことだ。また、定年の年齢は「60歳」が3.9ポイント減の86.6%、「65歳以上」が2.8ポイント増の9.1%となり、定年の年齢が徐々に引き上げられている傾向が伺えるとの説明だった。

この記事が取り上げている課題の意味は人生が長くなるなかで「働く」ことを根本的に考え直すことではないかと思う。単に定年年齢を延ばせばいいという問題ではないだろう。まして仕事を辞める基準が年齢だけでいいものだろうか?多くの仕事に引き際、辞め時はあるが、本来それは仕事の種類や内容やそれを生業としてきた個人の気力・体力など様々な要因によって決まるものだ。何故、未だに雇用される個人は、一律の年齢基準のみで仕事を辞めなければならないのだろうか。

定年をインターネットで調べると、次のような記述があった。
【定年(ていねん】とは、仕事などで、ある一定の年齢が達したら引退する年齢のことである。労働者が一定の年齢(定年年齢)に達すると自動的に雇用関係が終了する制度を定年制という。定年により退職する(雇用関係を終了する)ことを「定年退職」という。会社が定年制を導入するには、定年に関する事項を就業規則に明記し、かつその定年制が慣行的に行われている必要がある。日本の企業の正社員と公務員は、その大部分が定年制を導入している。適用している会社は少ないが、定年を定めないことも可能である。(例・日本マクドナルド)】 

 確かに定年制度は高度経済成長と日本的な年功序列型雇用慣行のなかでは意味のある制度であった。しかし、今後の少子高齢化と就業人口の変化が進展する日本社会のなかで企業が生き残っていくためには、あらゆる人材の有効活用が図られねばならない。その意味では明らかに現状の定年制度は意味を為していない。「一定の年齢が来たら自動的に雇用関係が終了する」という基準で有能な人材のモチベーションが維持できるはずがない。

私は、定年についての基準を企業毎・仕事内容毎に定めるべきではないかと思っている。もちろんその補助的な基準のひとつとして、年齢もあってしかるべきだと思うが、もっと個人のキャリア活用の視点や体力的視点など一人ひとりの状況に呼応した基準を取り入れてみたらどうだろうか。それは今までのキャリアを活用した新しい役割の基準でもあり、かつ、その役割を達成できたのか、出来なかったのかの成果連動の基準でもある。そういう意味では年齢基準で引導を渡されるよりも、もっと厳しい世界が待っているかもしれない。

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