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女性のキャリア教育の必要性

[2007.05.01] 植田 寿乃

近年、女性を活かす組織作り、女性の積極的な登用を意識しない企業はほとんどなくなりました。その重要性を社内共有しプロジェクトを立ち上げている企業から、株主など外部の指摘からトップダウンで、焦って取り組み始めた企業とさまざまです。

そして、多くの企業は女性が働き易い会社の環境の整備、制度の整備から手をつけ始めました。出産後も女性が働き続けるための、育児休暇や、育児サポート、時短勤務などは、ここ数年でかなり整備されてきました。しかしながら、子供を産む前に辞めてしまう女性達の数はあまり変わらない、また出産した女性達も制度を使っていない状況もあるようです。

また、日常的な場面で女性を積極的に登用していく場面において、責任あるプロジェクトを任せたり、管理職候補として選ばれたりした女性達がその機会を活かせず、逆にプレッシャーで潰れてしまう場合が多くなっています。また、男性を超えようと仕事に没頭しストレスで倒れたり、結婚や出産のタイミングを逸してしまったりする女性達も増えています。そういった逆ロールモデルの存在が、後進の女性達をキャリアに対して消極的で、受身な状態にしていきます。

なぜ、このような状況が起きているのか、それは制度やチャンスが増えても、当事者のつまり女性達の意識が変わっていないということが一番の問題です。いろいろな業種業界がありますが、男性を中心にした組織で、女性の役割を女性のサポート、アシスタント的に位置づけてきた企業は少なくありません。 1990年代の半ばくらいまでは、多くの企業では、男性と女性の雇用形態、給与体験、仕事内容も限定されていました。その中で、女性達は与えられた仕事をきちんとやることを求められており、結婚が出産までの限定期間、定例的な業務を一定のクオリティで行い続けることだけを求められました。自主性自立性を求められることはほとんど無かったといえます。一般職、地域限定社員といった女性特有の雇用形態にしろ、総合職の女性にしろ、女性達も結婚したら仕事を辞める、出産したら家庭に入るというような意識で働く人が多かった時代でした。

しかし、1990年代半ばからのITによる情報化社会と外資の参入は、企業をとりまく環境を大きく変えてきました。時代の勢いに乗るIT業界や外資系企業を中心に男性と見劣りせず働く女性達が増えていきましたが、1990年代はそれでも一部のキャリア志向の女性達でした。それが2000年を過ぎ、企業の将来性の不安定さと、少子化による労働力の危機感もあおられ、女性が結婚しても出産しても働き続けることの重要性が着目されてきました。企業は女性達に自主性自律性を求め、更なる実力やパワーを発揮し働き続けることを求めています。そして、結婚や出産という人生の節目を含めても働き続けて欲しいと願うようになりました。

では女性達はどうなのか?働き続けたいのか?どう働きたいのか?今、企業に勤める女性達はまさに自問自答をしています。

* 突然、一般職から総合職への転換候補と推薦されたけれど今のままのほうが楽なのに
* 私は男性のように残業や休日出勤をするような働き方はしたくない
* 管理職になったら、育児休暇や時短勤務は無理そうで子供は埋めないのでは?
* 30代で仕事に埋没していたら婚期が遅れてしまう
* 3年後の自分のキャリアの目標とか言われてもよくわからない

そう自問自答の中で考え、迷っています。女性は男性よりもその悩みは深く複雑です。理由は女性の人生おける役割の多様性です。企業、妻、母親、嫁です。そしてそれぞれの役割は、男性の夫、父親、婿という役割よりも要求されることが多く、比重が大きくなります。そして、その役割によりワークライフバランスは大きく変化をします。キャリアを考えるとは、まさに人生全体を考えることにほかなりません。

自分自身の人生設計を意識しながら、会社での働き方、そして自分のキャリアを考える必要があります。自己理解を深め自立を意識させること、ライフワークバランスを踏まえたキャリアプランを作ることは重要です。リーダー候補の育成などでも、まずはその動機づけとしてのキャリア教育が必要です。

そして最も重要なことは、キャリアプランをもちそれに向かって進もうとする女性達を管理職が、また組織がしっかりとサポートしていくことです。また、ワークライフバランスは、最近の新入社員のおいては男性も意識していることです。女性のキャリア教育をしっかり行いサポートすることは、これからの人材育成の鍵となります。

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