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目標設定と自分理解度の関係 ?キャリア形成と戦略 (5)~

[2007.04.10] 関島 康雄 (3Dラーニング・アソシエイツ 代表)

ゾーンDからゾーンBへ

自分自身に対する理解が不十分なまま目標を定めてしまった人が属するのがゾーンCだが、この場合は二つのケースが想定できる。自分のことは良く分からないが、将来起こりそうなことは良く分かっているという場合と、自分を誤解したまま目標設定をしてしまった場合である。私が社会人になったころ、将来ソフトウエアのエンジニアが不足することは、かなりな程度、明確に予測されていた。しかし、いくら需要があっても、自分自身の特徴点を理解しないまま仕事を選んだ場合は、成功の確率は低い。本当はそうでないのに、自分は論理的に考えるのが得意だからソフトのエンジニアに向いている、と考えた場合も同様である。通常は、自分に対する理解度が上がるにつれ、目標の選択が正しくないことに気がつき目標を変更するのが普通だ。従って、自分自身に対する理解が低いうちは、あわてて目標を設定する必要はない。ボンヤリこんな方向と考える程度で十分である。ゾーンDの人はゾーンCではなくゾーンBの方向を目指すべきなのだ。

新しい高台

チームの一員になることが出来、チーム全体に貢献できるようになれば、そろそろゾーンDは脱出である。自分のことをさらに理解するのに役立つような、新しい高台を見つける必要がある。先に経験から学ぶ手法を、撃ってみてそれに対する反応で、敵がいるかいないか判断すると説明したが、闇雲に撃つわけではない。敵がいるかいないか不明な藪に向かって撃つのである。キャリア形成の場合でいえば、「敵がいるかいないか分からない薮」に相当するのは、「自分に向いているか向いていないか分からない仕事」あるいは、「面白いか面白くないか分からない仕事」である。ゾーンBに入ったら、今までに経験したことがない新しい仕事に、出来るだけたくさんチャレンジしてみる姿勢が必要である。一方で、新しい専門知識の獲得も考えなければならない。従来の仕事に新しい知識を適用することにより、また違った自分を発見できたり、面白くないと思っていた仕事が面白くなったり、するからだ。

探索型の文化の形成

ゾーンDからゾーンBに移るにあたって心がけなければいけないことは、探索型の文化に親しむことである。幅広く情報を収集、それを整理統合して、次に起こりそうなことを考える。好奇心をいろいろな分野に発揮し、面白そうだと思う事を増やしていく。新しい人的なネットワークの形成に努力し、そのために自ら情報発信を心がける等など。一方で、ボンヤリした将来の目標の達成に役立ちそうな能力の開発に手をつけるといった新しいチャレンジにも取り掛からなければならない。将来海外で活躍したいと思えば英語のブラッシュアップだけでなくもう一つ別な外国語の勉強を始めるとか、マーケティングや戦略理論の新しいトレンドについての本を読んでみるとか、勉強する習慣を身に着けるのことが大切である。

時間を使っても平気なことは何か

キャリアの本当の目標は、何に成りたいかではなく、何をしたいかである。そのためには、少し難しく言えば、自分の価値観すなわち、「自分は何を大切と考えるか」を知る必要がある。人が作った基準でなく、自分の価値観に基づいてキャリアを選ぶのでなければ自分らしい人生を送ることは出来ない。しかしいきなり「あなたの価値観は」と質問されても、とまどってしまうのが普通だ。そこで、質問をもう少し易しいものに変えると、「自分は何をしているとき、一番自分らしいと感じるだろうか」になる。これで難しければ、より単純化して、「自分は、何が本当に好きなのか」でよい。自分の好きなこと嫌いなことが分かって、次に、何故好きなのか、何故嫌いなのか理由を考えれば、自分は何を大切と考えるかは、次第に明らかになる。しかし、この作業も簡単ではない。好き、嫌いの判定も、やってみると結構難しいからだ。Bゾーンにいるうちは、どんなことをするとき自分は時間をいとわないかを、観察するのがよい。時間を使っても平気なことは、好きなことをしているときだ。食べ物の好き嫌いとは違うので、この発見には少し時間がかかるかもしれない。だが、自分らしさをみつけるには時間が必要なのである。

〈続く〉

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