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若手社員のキャリア自立を促す教育

[2006.10.06] 佐々木 郷美

■若手社員の無気力化、離職が深刻に・・・・
「先輩の背中を見て育つ」現場のOJTが機能しなくなり、企業の中心戦力となるべき若手社員の無気力化、離職が深刻になっています。厚生労働省「新卒学校卒業者の就職離職状況調査結果」によると、2001年度就職者における3年以内に離職する若手の割合は、大学卒業者の35.6%と高水準になっています。
 ビジネス環境の変化が激しく、厳しい競争にさらされる企業では、個々の社員へ具体的なキャリアパスを提示することは年々難しくなっています。同時に、求める人材の要件水準は高まり、付加価値を創造する課題解決型の人材を育成することが、企業の競争優位性を左右する重要なポイントとなっています。一方で、近年の若者の意識も変化しており、組織への帰属意識は低いにも関わらず、「良い会社に入ることが自分のキャリアを決める」と言ったキャリア形成を会社任せにする傾向も見受けられ、そのことが「青い鳥を探して求めて」安易に転職を繰り返してしまう現象につながっていると考えられます。

■ 仕事を通してキャリアを作る
 このような状況を踏まえて、「キャリアは日々の仕事の中から自分で作り上げるもの」という前提に立った新たな視点でのキャリア教育が必要であると考えます。
 従来のキャリア教育は、自分の市場価値を高め、社内外に通用する人材になることをゴールとしたものや、将来の夢を描くことで、モチベーションアップすることを効果として狙ったものにとどまっていました。アクションプランの立て方も、設定したキャリアゴールから逆算的にステップを定めるアプローチが主流でした。しかし、ビジネスの先行きが読みにくく、スキルや知識の陳腐化のスピードも速い現在、与えられた基準でキャリアを作ることはあまりにもリスクが高く、また、一度描いたキャリアプランに固執することも本人の可能性を狭めてしまう結果になりかねないと言えるでしょう。
 これからのキャリア開発は、価値観や内的動機といった自分の内面にある「自分らしさ」を基準とすることが大切であり、キャリアビジョンを鮮明に思い描きつつも、日々の仕事でアウトプットを出していきながら、その過程で新たな気づきを得、自らの可能性を広げていくことに力点が置かれるべきです。したがって、アクションプランも、キャリアを育てる行動の幅を広げるよう支援するものであるべきだと言えます。

■ キャリア教育で押さえるべきポイントは?
 まず、徹底的に自分の内面と向き合い、自分の行動に影響を与えるモチベーションの源泉を深く探る必要があります。次に、世の中の動き、自分の所属する組織の変化を高い視点から捉える訓練が重要です。そのことが、自らの職務の意義や意味を理解することにつながるからです。そして、?B外的な基準や他者にとらわれない、自分らしいキャリアビジョンを活き活きと描くことが大切です。
 最後に、情報過多な社会で、若手は、表面的な情報収集やテクニックに走りがちかもしれませんが、組織の中で自ら成長するためには、仕事の成果に結びつく行動の開発が何より重要です。客観的に自分の行動を振り返るためのアセスメントツールを用い、本人に納得感がある方法で、改善点をアクションプランに具体的に落とし込んでいきます。
 このように、キャリアを育てる具体的なステップを体系的に学ぶプログラムが求められていると言えるでしょう。

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