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企業内キャリア教育の重要性について

[2006.06.12] 佐々木 郷美

近年、個人のキャリア開発が注目されています。また、キャリア開発の結果、「組織における個人が活き活きと仕事をすること」、「仕事を通して幸せを感じ、充実感を得ること」が、組織の成長を直接左右する時代であるという認識が広がりつつあります。

そもそもキャリア開発とは何でしょうか?
キャリア開発とは、人が自分の生涯を掛けて、仕事を通じて精神的・情緒的に発達、成長をしていく過程のことであると定義されています*。では、人は仕事を通して何を実現しようとしているのでしょうか?
人の価値観や生き方が多様化する現代に生きる我々は、給料アップや、社会的ステイタスを得る、という動機付けだけでは、仕事へのやりがいを感じにくくなっています。そういった物質的なニーズより、むしろ自分を成長させたい、自分の存在意義、生きていることの意味を見出したいという精神的なニーズを仕事に求めるようになっています。

まず人は、「生活のために」仕事をします。しかし、それに留まらず、「社会的に認められたい」という欲求を満たす仕事を求め、「自らを高めたい」という欲求を満たすために仕事に打ち込み、「何かに貢献したい」という目的のために人が仕事をしようとしている、そのような時代になってきています。

このような流れの中で、企業の在り方はどうあるべきなのでしょう?

企業は、ゴーイングコンサーンとして、利益を上げること、生産性を高めること、競合に勝つことを目標として掲げ、そこへ個人の意識を向けさせることも重要ですが、同時に、「個人が組織に存在する意味・意義」、「我が社だからこそできる社会へのユニークな貢献」、「組織が成長することによって個人にもたらされる可能性」をメッセージとして明確にすることが重要になります。いわゆる「ミッション」「ビジョン」という形でこのような個人の感情に訴えるメッセージが表現されることが、企業の魅力となり、中長期的な成長を支えるのではないでしょうか。

あわせて、企業が「個人が動機付けられ、強みを発揮し、自己実現を可能とする環境」を整えることが、個々人の自分らしい価値創造を促進します。企業にとって、人材マネジメントのあり方を個人の視点に立ったものへとシフトしていくことが、不可欠になりつつあります。なぜなら、会社の指示・命令に忠実な社員よりも、自分らしい貢献を意識している社員の方が、格段に高い生産性と創造性を発揮するからです。明確なビジョンのもと、自律的に動く社員がいる組織、それがこれからの時代に求められる企業の姿であると考えます。

キャリア開発支援は、まず自分のビジョンを描き、それを組織のビジョンと統合させながら、常に自分を高めていこうとする、いわゆる「自律型人材」育成の一環と位置付けることができます。社員に自己啓発を強いるのではなく、キャリア教育という形で、個人の立場に立ったキャリア開発を支援することが、個々のモチベーションアップにつながり、個人と組織の気持ちの良い関係を実現する1つのきっかけになるのではないかと思います。

「毎日の仕事の中に、ワクワクや楽しみを創造しながら、自分らしさを表現し、やりがいを見出す術を身につける必要があること」、これを意識させ、そのスキルを向上させる機会を与えることが、これからの理想的な企業内キャリア教育の姿であると考えます。

*GCDFキャリアカウンセラー トレーニング・プログラム テキスト
「最強組織の法則」ピーター・M・センゲ
「7つの習慣」スティーブン・R・コヴィー

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