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仕事を面白くする方法 (2) 専門性、自律性、自分らしさ、そして良いことのため

[2006.03.17] 関島 康雄 (3Dラーニング・アソシエイツ 代表)

一人親方とは、英語でいうセルフ・エンプロイド、自営業の人のことで、世界で活躍する芸術家やスポーツ選手もこの仲間である。「一人」と親方の前に形容詞をつけるのは、専門性と自律性を強調するためで、一人で仕事をするからではない。プロフェショナルも近い言葉だが、一人親方には、専門能力を武器に、自分で経営をおこなうという意味合いがこめられている。たとえば個人事業主である陶芸家は、個展のプロモーションから作品の値段の設定、製品のデザイン、製作、製品の納入まで一人で実行し、収支の責任も負う。このように一塊の仕事を頭からシッポまで全部一人でおこなうので、経営者的な能力を持っていないと成功できない。作業するのは自分なので、従業員としても優秀でなければならない。作品は広い意味で、世の中の人を喜ばすものでなければならない。この一人親方の特徴点は、組織内にあっても十分に有用である。

一人親方は、専門性、自律性、自分らしさという三つの座標軸でその位置を判定できる。専門性とは、職能分野での能力で、技術系、事務系を問わない。職能分野の仕事をある程度まかされて一人で実行できるというレベルから、社内で一目置かれる存在、業界内でも名前を知られている、全日本クラス、世界でも一流といったように水準を区分できる。自律性は、自分で決定し、実行できる程度のことで、組織内であればどの程度組織に対し対等であるかが判断基準となる。自分自身をコントロールする能力は、自律性の根幹である。自分らしさとは、自分のもつ価値観を良く知って行動できる能力水準のことで、単なる好き嫌いではない。自分は嫌いなことには、チャレンジせず回避する傾向があるというような自覚があれば中程度。自分は、何かを達成することよりは、心が安定していることに価値を置いていて、そのことが自分の行動に反映する、と理解している場合は水準が高い。

それぞれの要素の関連性は次のように考えられる。(1)専門性が高ければ周りの人や組織と対等の関係が保ちやすく、自律性を発揮しやすい。専門性が高ければ仕事の上で自分らしさを発揮する機会が増える。(2)自分らしいことなら好きになりやすく、努力も継続できるので専門性は高まる。自分らしいことだと、自分をコントロールしやすく自律性は発揮しやすい。(3)自律性が高ければ専門性を良いことに使い、悪いことに使用しない努力が出来る。自律性が高ければ、流行やまわりの意見に左右されずに自分らしさが追及できる。一人親方度を上げるためには以上の三つの要素を、バランスよく鍛えなければならない。自分を、全体的に面倒を見る必要があるのだ。

一人親方になることを進める理由は、普通の人が「自分らしい人生」を送るのに最も適した方法であり、なれれば仕事を面白くできるからだ。一人親方の条件の一つは、一塊の仕事をひとりで切り回すことができるというものだが、まかせてもらう以上、結果に責任を負わなければならない。リスクも大きいが自由裁量の余地も広く、その分面白い。仕事を通して自己の成長が実感できれば、さらに面白い。問題は、一人親方というキャリアを、どうスタートさせるかである。

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