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七五三問題

[2006.02.27] 中田 研一郎

若者が就職をしてもすぐに離職あるいは転職をしてしまう現象は「七五三問題」といわれている。中学、高校、大学を卒業して就職をした人の七割、五割、三割が三年以内に離職、転職するということである。その原因は一般には、学生が就職に際して、自分の適性あるいは仕事の内容を良く考えず、安易に就職し、安易に辞めてしまうことにあると言われている。しかし、本当にそうだろうか。

そのような見方をする大人は、自分が若かった頃を思い出してみたらどうだろう。新入社員の頃、何をしていいのか分からず、誰も教えてくれなくて右往左往していたことはなかったのだろうか。斬新な提案に対し、会議で先輩社員や管理職がひたすら自己保身に走っているのを見てがっかりしたことはなかったのだろうか。夢を持てといっている先輩社員が、実は仕事の上では夢を殆どもっていなくてゴマすりばかりしているというようなことはなかっただろうか。

若者にも言い分はある。我慢が足りないと説教をするのは簡単だ。しかし、会社が健全にのびのびと成長をしていなければ、そこに所属する個人も motivationは下がってしまう。特に下働きが多く権限も力もない新人社員は常に一番弱い立場にあるので、組織の健全さ如何でmotivation は簡単に左右されてしまう。

新入社員は皆大きな夢と希望をもって会社に入ってくる。その夢がわずか3年も経ないで消えてしまうのは、組織をあずかる者に大いに責任があるのではないだろうか。世の中は複雑で理屈どおりにはいかない。しかし、自分の経験でも、会社組織では組織の論理と過去の慣習を大義名分として、新しい試みや変化を嫌う傾向が顕著であることは否定できない。その保守性が若者の気持ちを萎えさせてしまうのである。

組織のリーダーが革新の気概を失った瞬間から組織は保守化する。そしてその保守性が若者のやる気をそいでしまう。入社式で新入社員に訓辞をたれる会社幹部は、若者に話すことをまず自分が実行しているかどうか、自らの胸に良く問うたうえで話し、話したことを自ら実行すれば、七五三問題も少しは解決の方向に行くのではないだろうか。

大人が若者の情熱を信じないで偉ぶっている限り、世の中は良くならない。

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