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- 【コラム】失敗や恥の経験がリーダーを育てる
「君にはまだ10年早い」
新入社員時代に先輩社員からよく言われた言葉だ。当時のわたしは、参加した会議では、かならず何か発言をしていた。思ったことは発言すべきというのがわたしの信条だったからだ。
ところが、面白いことに、こんなわたしでもプロジェクト・リーダーから目をかけられ、彼らがマネージするさまざまなプロジェクトに参加させてもらった。
失敗もし、大きな恥も小さな恥もかいた。自分が正しいと思って行動した結果なのだから、なんら悔いはなかった。いま振り返ると、本当に良い経験をさせてもらったと感謝している。先輩たちは嫌味を言いつつも、「やって見せ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」と、山本五十六海軍元帥の心情を持って、こんな生意気なわたしを育ててくれたのだ。
大企業には毎年、高学歴で優秀な学生が入社してくる。しかし、入社後になぜか伸び悩む新入社員が少なくない。そのうち、「教育してくれない会社が悪い」と言い出す始末だ。
一方、いまの企業の教育現場を見てみると、彼らが求める教育を知識の詰め込みと勘違いしているように感じることがある。
たしかに知識は武器となるが、それだけでは仕事に活かせない。武器の使い方は経験に左右されるのだ。武器を使う知恵は、失敗や恥をかいた経験で身についていくことを、わたしは身をもって学んだ。
今日のように変化が激しい混迷の時代においては、過去の経験を頼りに意思決定を行っても成功確率が高まらないことを、だれもが知っている。しかし、何を最優先とすればいいのか、どこにリスクが潜んでいるのか、どのようにコミュニケーションをとればいいのか、経験で身についた知恵の引き出しが助けてくれることがあるのだ。
若い時代から経験を積ませることがいかに大切か、人事担当者はいま一度、考えていただきたい。それも成功ではなく、失敗や恥から学ぶ方が多いということを......。