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国際化の先端を行く立命館アジア太平洋大学

[2005.12.16] 中田 研一郎

先週、大分県の別府にある立命館アジア太平洋大学(APU)を訪問しました。日本にある大学の中では、最も国際化の進んだ大学であると聞いていましたが、予想を遥かに超えた国際化の試みに深く感銘を受けました。何よりもAPUの特徴を際立たせているのは、学生も教員もその半数は外国人であるということです。在籍している外国人学生の国籍は70カ国に及び、教える側も学ぶ側もまさに世界中から国際色豊かな人材が集まっています。

中曽根内閣が打ち出した留学生10万人計画が実行された結果、近年、日本への留学生は確かに増えました。しかし、個々の大学を見ていくと留学生の比率はまだまだ低く、その存在を意識するレベルではありません。ましてや日本の大学では外国人の教授は例外的な存在といえるでしょう。

私の一番の興味は、APUの国際化がどれほど進展しているのかということにありましたので、事務局に日本人と外国人の学生数名を英語と日本語でインタヴューさせていただくことを事前にお願いしました。出席したのは日本、韓国、中国、インド、タイ等多彩でした。入学試験は英語ベースと日本語ベースに分かれて得意な言語で受けるシステムですが、全員4年生なので既に外国語を十分にマスターしており、日本語でも英語でもどちらでも話せるバイリンガル

環境でした。実際に話してみると外国人はまことに流暢な日本語を話し、日本人も日本人学生では珍しいしっかりした英語を話しました。彼らの大半は入学と同時に大学の寮に入り日々、多くの国籍の仲間といやでもコミュニケーションをせざるを得ない環境におかれます。国籍はあまりにも多岐に亘っているので徐々に意識しなくなって、人間として付き合うようになってくるという言葉が印象的でした。

また、英語は一番の共通語で授業でも学生の個人的な付き合いでも必須となるので、英語が

母国語でない人も必要にかられて当然、急速に進歩します。また寮では様々な国籍の人との

間での議論が日常生活そのものなので、自分の意見は理由を明らかにして表明しないと物事が

なりたちません。

「英語を学ぶ」のではなく、「英語で学び生活をする」ということです。日本の英語教育では

英語を流暢に話せない先生が教えているという致命的な問題がありますが、ここでは教師の

半数が外国人であることにより、この問題が解決されています。

企業で海外駐在しても日本人だけでかたまり、日本を海外に持ち出して異文化も理解せず語学も上達しないまま帰国する人が大勢います。そんな海外駐在をするくらいならAPUに数ヶ月留学したほうが、いい経験になるのではないかとすら思いました。大分県の全面的なバック

アップと経団連をはじめとする財界の寄付で、発展途上国からの留学も可能となっている由と

聞いて、日本にも心ある人は大勢いて的確な手を打っていることを知り、日本も捨てたものではないと大変うれしく思いました。APU卒業生は企業にとっては大変魅力のある人材なので、企業への就職も順調だという事実は納得できるものでした。少子化時代における大学の生き残りを考える上で、貴重な示唆を得た思いでキャンパスを後にしました。

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