事例・実績

導入企業の声

「ピープルマネジャーが現場力を強くする」UDトラックス株式会社様

旧来の販売会社からグローバル企業であるボルボ・グループの一員へという環境変化にともない、UDトラックスの国内販売部門は組織風土の変革を迫られていた。新たに導入された成果重視の人事評価制度において、マネジャーには業績管理だけでなく部下の人材開発も求められる。年功序列の典型的な日本の会社で経験を積んできた彼らだったが、これからは業績管理だけでなく、多様な部下の能力を開発し、発揮できるように支援していくことも求められることとなったのである。経営陣がコミットして2013年にスタートした変革プログラムは、現場マネジャー全員を対象とし2年間をかけて実施された。当初は戸惑いが多くあったが、互いの変化に刺激されながら、最後には変わるのは必然という雰囲気になっていた。まさに「継続は力なり」である。
(インタビュー日:2015年6月9日、役職はインタビュー当時のもの)

Q.変革の背景と狙いを教えて下さい。

 国内販売 人事部 ダイレクター 岡田 明美 様

国内販売 人事部 ダイレクター
岡田 明美 様

旧日産ディーゼルの販売会社から、外資系企業への転換という背景がありました。もともと、男性中心社会、先輩後輩関係を重視する年功序列的な考え方の中での終身雇用で、典型的な日本の会社でした。国内の他の「ものづくり」の会社と同じ製造業独特の雰囲気の中で、全国の販売会社を国内販売として1社にまとめたのもこの直前のタイミングでした。ボルボ・グループに入ってからすでに何年か経っていましたが、変革の波をより身近に感じ、自らの意識を変化させないと生き残れないことを実感してもらい変革の先頭に立っていただきたいというのが最大の狙いでした。

Q.人事としては具体的にどういう取組みをされましたか?
年功序列だった人事評価制度から、成果を重要視する人事制度に変えると同時に、マネジャー教育に取り組みました。
マネジャーの役割は人を率いていくことにありますが、チームの力を最大限に活かして結果を出していくためには、部下の能力開発や人材育成が欠かせません。今までのように、順番を待っていたら部下が知らない間に成長して役割も広がっていた、というのではなく、上司が部下を見て、コーチして、育てていく必要があるのです。
ボルボ・グループにはグローバルの仕組みとして、パーソナルビジネスプランという人事評価制度があります。目標設定をして、中間レビューをして、期末レビューをするというPDCAを基本とする目標管理制度で、目標設定が上位者から降りてくることがこの制度の特徴です。グローバルで設定された目標が日本に降りてきて、それを各支社、各拠点長、そして個人へと、1つずつ降りては合意しての繰り返しです。グローバル組織の目標が各個人のところに来るまでに時間がかかりますが、その分、確実なものとなっています。
個人に、十数万人で結成されているボルボ・グループの目標や結果の一部になっているという意識を持ってもらう事、そして、そういう個人の集まりの力を最大限に発揮させる力を作るためにマネジャー教育を実施しました。

Q.プログラムの実施回数や期間について教えて下さい。
パーソナルビジネスプランでは年間3回ほど集合研修を実施しました。いつも忙しいマネジャーが集まるということで、パーソナルビジネスプラン以外の教育も同時に展開しました。集合研修はマネジャー対象で2年間続けました。まさに「継続は力なり」でした。

Q.パーソナルビジネスプラン以外の研修内容とは?
従業員の意識調査結果を見て、アクションプランを立て、進捗状況を確認する会議を実施するための研修を行いました。また、ダイバーシティとインクルーシブネスを活かした組織づくりのための研修も行いました。ボルボはグローバルで、ダイバーシティ&インクルーシブ リーダーシップのプログラムを持っていて、トップダウンでマネジャー向けに展開しています。
現実的には各拠点マネジャーは男性ばかり、日本人ばかりですが、ダイバーシティは性別とか国籍だけではなく、いろんなことがあることを学んでいただきました。各拠点には若い方がいたり、少ないですが女性もいたり、学歴も違ったりします。私自身、全国でこのプログラムを展開してみて、たとえば同じ支社にまとめられている地域の中でも歴史や地理からいろいろな特徴があり、お客様からの期待など仕事上にもその影響が表れることに気づきました。参加した方にもそういった点に気づいていただき、うまく活かすことの必要性を学んでいただくことができたと思います。

Q.プログラムを企画するとき意識されたことは?
当社の拠点マネジャーには、整備工場を預かるカスタマーセンター長もいます。トラックは売るといっても、「できているトラックを買っていただく」というものではなく、お客様のニーズを聞いて、作って売る、というモデルでできています。またトラックをお買い上げいただいた後も車検などお客様へのサービスは続きます。必ずしも拠点長の全員が販売経験者や、工場経験者というわけではありません。自分が経験していない職に就いている部下をまとめたり、育成したりすることも求められたりもします。また、自分達が就職したころとは違う価値観の若者が入社してきたり、年上の部下ができたりという状況も出てきました。
そういった多様性に富んだチームを率いて結果を出していくリーダーシップというのをきちんと理解して、弊社用にカスタマイズしたプログラムを提供してくれる会社を探していました。今回、エム・アイ・アソシエイツにお願いした大きな理由として、その点が挙げられます。

Q.人や組織にどのような変化がありましたか?
トレーニング後のアンケートで、最初の頃は、「このプログラムで何を学ぼうと思いましたか」という質問に対して、「上司に言われて来ました」と書いていた人もいましたが、2年間のプログラムが終了する頃にはそのような回答をする人はいなくなりました。アンケートの「積極的な参加姿勢」という質問に対しては、最初はどうなるかと思う状況でしたが、2年間でどんどん上がってきて最後は90%近くになりました。ボルボ・グループの目標である85%を超えたことになります。「この研修で学んだことは何ですか」「これからどうしますか?」といった質問に対しても、段々と具体的な回答が返ってくるようになりました。
開始当初は私のように外から転職してきた人に対して、「東京から来た現場を知らないお姉さんが、何を教えてくれますか?」という雰囲気がありましたが、回を重ねるうちに、「楽しみに待ってますよ!」「次はどうですかね?」と声をかけられたり、集合研修で聞けなかったことを個別に質問されるようになり、熱心に取り組んでいただいていることを実感することができました。
参加したマネジャーの上司から、「彼は変わったね」といった評価をいただくこともありましたが、それは研修中の態度から私たちが感じていた印象と一致していて、少なからず貢献できたと感じています。

Q.参加者の変化を感じたのはいつ頃ですか?
1年くらい経って、開始当初を振り返ったときに、みんな変わっていることに気づきました。
最初は、いきなり「変わりましょう!」と言われ、どうしたらいいかわからない状況でした。そこに、「世の中はこんな風に変わっています。ボルボ・グループはこういう働き方を提唱し、こういう結果を期待しています。国内販売はこういう変化が求められています。皆さんにはこういう変化が求められています。」と具体的に言い続けていたら、ふと見たときその方向へ変わろうとしていたのです。
最初は様子見の人もいましたが、周りが変わっていくのに気づき、それがグループダイナミクスとなり、いつしか変わるのが当然という空気になっていました。同じメッセージを言い続けた継続の成果を実感しました。

Q.経営トップやマネジメント層の支援はありましたか?
はい。そこのサポートは大きかったと思います。
ボルボ・グループはグローバルで自律性を重んじていて、マネジャーも自分で勉強していくべきだと考えられています。だからeラーニングや個別コーチングを実施することはあっても、今回のように大きな規模で継続した集合研修は滅多にありません。
そんな中、日本はまだ環境が変化したばかりでした。社風もマインドセットも、これから変わらないといけないという認識を共有して、2年間をかけて大きなプログラムを進めていくことになりました。そのプログラムの中で、継続した研修を実施するということを、最初に経営陣がコミットしました。変化をする時に、トップダウンでブレない方向性を示してくれたのは非常に大きく、全てはそこから始まったのかなと思います。

Q.今後に向けてどのような取り組みをお考えですか?
今まで2年間かけて、ピープルマネジャー全員が参加して、集まって基礎を学んできました。今はその段階は卒業したかなと思っています。これからはレベル別研修や自ら声を上げた人に必要な研修を実施し、底上げとそこから上に引っ張るのとを併せて取り組んでいきたいと考えています。選択と集中をしながら、ひとつ上のリーダーになる可能性のある人に対して、その方に合ったものを提供していこうと考えています。
本来はタレントレビューやコンピテンシーモデルを踏まえて、あるべき姿と現状のギャップ分析をするところから研修があるのだと思いますが、これまでは逆のパターンできました。まずはマネジャー全員がボルボ・グループのあるべき姿を認識するということで進んできたのです。
今後はタレントレビューから見た「求められる姿と現状」のギャップ分析、そこから見えてくる1人ひとりの課題に対して支援を始めていきます。去年から国内販売でも本格的に年間のタレントレビューのプロセスを展開しています。それと他のディベロップメントプランなどのサイクルがグローバルのそれと少しずつ合ってきて、足並みを揃えていけるようになってきたと思います。
これからは誰もが今よりひとつ上のリーダーシップを取れるように支援の機会を提供していきたいと考えています。

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