- 「人材開発ソリューションのエム・アイ・アソシエイツ株式会社」ホーム
- 事例・実績
- 「ダイバーシティ&インクルージョンによって女性の潜在力を引き出す」 ミサワホーム株式会社様
「ダイバーシティ&インクルージョンによって女性の潜在力を引き出す」 ミサワホーム株式会社様
本来女性の関わりが大きい住宅という商品を扱い、優秀な女性が多くいるにもかかわらず管理職候補が少ない背景には、女性に対する育成や活躍機会が限られていたという経緯があった。そこで、管理職候補だけでなく多様なロールモデルを育成するとともに、彼女たちが活躍できる現場づくりのために、上司のマネジメント力アップにも同時に取組んだ。上司に対してはキャリア開発支援研修、女性に対しては3回にわたってスキルとマインド(キャリア開発)の研修を実施し、インターバル期間にも課題実施やネットワークづくりを行うことで、参加者の意識に大きな変化を起こした。当初は内向的だった参加者が、自らの意志で管理職を目指すと宣言するまでに至った。
(インタビュー日:2015年6月16日、役職はインタビュー当時のもの、以下敬称略)
Q.ダイバーシティ推進の背景や狙いを教えて下さい。
企画管理本部 総務人事部 課長
秋山 美絵 様
Q.女性活躍推進とはミサワグループにとってどのような意味があるとお考えですか?
秋山 女性活躍推進が政府からしきりに言われる以前から、社長も、「住宅は女性の関わりが大きい商品なので、そこで女性がもっと活躍してもらいたいし、活躍していないのはおかしい」ということは公言していました。会社の中で女性がアイデアや意見を出して活躍するというのは、私どもの商品にとって必要なことだとグループとして考えています。
企画管理本部 総務人事部 主幹
森下 博 様
Q.取組みの具体的な内容を教えて下さい
秋山 ひとつはビジネススキルです。
点在しているグループ会社に在籍している女性社員は、これまでビジネススキル研修を受ける機会がない中で、自分なりに工夫して業務を進めてきました。今回フレームワークなどを教えてもらって、なるほど自分はこういう型でやっていたなとか、自分が編み出したものが結果的に型の中に入っていたとか、逆にこの型を知っていればもっとスムーズにできたなというような、そういった声がたくさんあがりました。今まで経験のなかったビジネススキル研修を受けて、改めて学んでもらうことができたと思います。
もう1つはキャリアです。
自分が今までどのように働いてきたかを振り返ったり、これからどうなりたいかを考えたりということは、小さい日常の中ではあったかもしれませんが、成長とか目標に向かって大きいスパンで考え進んでいこうという視点が少なかった思います。そういう機会になかなか恵まれていなかったからかもしれません。
そこで、キャリアの部分について、自分の歩いてきたことをあらためて振り返り、それを礎にこれからどんな自分になりたいかを考えてもらうことで、より成長したいという気持ちを意識付けできるように取り組みました。
スキルと気持ちの両面から、楽しく会社で働き、やりがいを持って成長できるという意識に切り替えてもらうようなカリキュラムを、エム・アイ・アソシエイツにはお願いしました。
Q.今回のプログラムの中では、女性本人だけではなくて上司も巻き込んで実施されたということですが、上司には何を期待されていましたか?
秋山 上司には、女性にとって「働きやすさとは」をあらためて考えてほしいと思いました。ビジネスの中できちんと仕事ができるということが、女性にとっても本当の意味で楽しさややりがいにつながるのだから、女性も育成が必要であるということを理解してもらえるようお願いしました。
ただ単に優しく、ゆるく育てていくのではなく、期待して機会を与えて鍛えるということが女性にとっての成長につながるということを理解して頂けたことは非常に効果があったと思っています。
森下 最初の流れからいくと、とにかく女性活躍のロールモデルを作りたいということと、管理職の担い手を作りたいというのがこの研修の目的でした。
上司についても研修としては非常に充実しています。管理職候補を育てるためには、本人だけでなく上司のフォローが必須と考え、上司会合を設けました。ただ、今回の受講者のためだけに上司に来てもらうというのではなく、今後の多様な部下に対するマネジメントを学んでいただきたいと考え、プログラムを構成しました。今までのマネジメントスタイルとは異なる内容に対して、新たな驚きや気づきが大きかったように感じました。
Q.プログラムとして長い期間をかけて展開していることには、どのような狙いがありますか?
秋山 昨年の1期目は8ヶ月、2期目の今年度も6ヶ月をかけて実施しています。
最初に上司向け研修を開催し、「女性を育成する」ということをよく理解していただき、その後、女性の成長を支援をして頂くことは非常に効果的だと思っています。
上司研修の後、女性向け研修を3回実施します。各回の間には、勉強したことを復習したり実践したりして、次の研修で集まったときに参加者で振り返りを行います。インターバル期間に、定着させる時間を持てたということは非常に効果的だったと思っています。また、最初に集まった時は見ず知らずだった関係が、だんだん仲間になり、お互いの変化や成長を見ながら刺激しあえた点も非常に良かったと思います。
森下 また、研修だけでなく、インターバルの期間には事務局側からネットワーク作りを仕掛けました。これだけ研修を重ねて、インターバルに事前課題、事後課題を出し、ネットワーク作りまで行うというのは、本当に育成するぞ、という覚悟がないとできないことだと思います。
Q.これまでに感じた成果は?
秋山 昨年度の取組みでは、女性自身の働く意欲とか働くことに対してのモチベーションが、初回と最終回で全く違うものになっていたと感じます。今まで自分の範疇で何とか仕事を続けてきた受講者にとって、初回はやらされ感を強く持ち、私がこの研修に参加するのは場違いじゃないかと思う人も複数いる中でのスタートでした。そこから3回の研修で複数の講師からさまざまな表現でスキルとマインドを学んだことによって、最後には、「働くってことは自分にとって非常に楽しいこと」とか、「仕事の中で成長するということは、非常にありがたいこと」という意識に変わってきたと思います。
その結果、最終回では「管理職を目指します」という発言も複数の方から出てきました。仕事というのは自分を発揮できる場であり、管理職になるということは決して辛いことではなく、自分のためであり、やりがいにつながるという意識に変わった結果だと思います。それは本当に大きな効果、成果でした。
森下 今回の研修で受講者は、こちらが狙った通り、もの凄く意識が高揚し、変容したと思います。
最初の頃、受講者はとても受け身で内向的でした。正直なところ、事務局も講師陣も初回研修の事後ミーティングでは、これからどうしたらよいか悩みました。そこで各研修の事前事後に講師陣との打ち合わせをし、当日の反応を見ながら受講者に合わせて内容を調整していった結果、最後には、「私、管理職を目指してやります」とか、「ロールモデルとして自分はこんな役割を果たしていきたい」ということを宣言するまでになりました。「意識を変えることができた」ということを言葉で説明するのは難しいですが、終了式の時にみんなで泣きながら健闘を称え合っている姿が何よりもの証拠だと私は思っています。あれを見たら何も言うことはない。言葉で説明するよりもあのシーンを見たことで、そういうことなんだ、とわかりました。現場に戻ってからの行動変容が大いに期待できると確信しています。