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「50歳代には"自分で考える"ことを促し、シニアの可能性を広げる」 三菱商事株式会社様

経験も状況も多様なシニア世代にとって、これからのライフ、キャリアにも多様な選択肢がある。何よりも重要なのは、それを「自分で考える」ことに気づいてもらうこと。そのために、会社の制度を理解し、今後の収入と支出を知った上で、これまでのキャリアを棚卸しして自分の強みを再認識する。研修では、同世代の人達との情報交換によって刺激を受けることも多い。シニアのキャリア研修は、本人の選択の幅を広げ、自律的にライフ、キャリアを歩んでいくことを促すために不可欠なプログラムとなっている。
(インタビュー日:2015年7月2日、役職はインタビュー当時のもの)

Q.キャリアデザイン室の取り組みについて教えてください。


人事部 キャリアデザイン室 室長 夏目 淳様

人事部 キャリアデザイン室
室長 夏目 淳 様

キャリアデザイン室では説明会やセミナーを実施していますが、これらの一番のキーワードは、「50歳を超えたら、60歳以降も含めたライフ、キャリアについて、自分で考えることを意識してほしい」ということです(図1)。

弊社は、扱っている商品や事業の形態(トレーディング、事業経営、投資など)も様々、また、世界中に展開しておりますので、30年~40年間、会社で同じような経験しかしていない社員は、ほとんどいません。従って、50歳を過ぎる頃には、会社に入って30年くらい経っているわけですが、経験やスキル、ネットワーク等、社員個々人によって様々です。また、弊社に限りませんが、子どもの年齢や家族構成等も様々。海外駐在の後、帰国して、50歳を過ぎてからローン組んで家を買うといった人もいたりする等それぞれ状況が違います。ですから、説明会やセミナーを通じて、社員個々人が「自分の状況に合わせて自分で将来を考えなければならない」ことに気づくことが重要であると考えています。

説明会やセミナーは年間スケジュールを予め計画した上で、いずれも年3回程度開催しています。説明会やセミナーの内容は、大きく3つのカテゴリーに分けて開催しております。

1つ目は、50歳代、60歳代に向けた会社制度や定年退職後の処遇について理解を深めてもらうための「会社制度説明会」です。ここでは、退職金、企業年金といった会社の制度や、国の年金等、本人が何歳からどの程度もらえるかということについて知ってもらいます。50歳になっても会社制度のことを知らない、あるいは、何となく理解している程度、という社員も少なくありませんが、社員個々人が今後の生活設計を考えるにあたり、まずは、しっかりと理解してもらう必要があります。弊社では、2013年度から当該年度に55歳を迎える職員全員を対象に参加必須で会社制度の説明会をスタート致しました。また、本年度からは対象を広げ、当該年度50歳を迎える職員についても参加必須の説明会を新設し、会社制度の理解の徹底に努めております。

2つ目は、60歳以降、将来発生する費用について理解を深めてもらうための「経済プランセミナー」です。ここでは、50歳代からの将来のマネープランを検討するにあたり、知っておくべき将来必要となるお金について説明します。具体的には60歳以降お金はどれくらい必要なのか、そのために貯金はいくら必要なのか、生活費や保険の見直し方法の考え方など含め、ファイナンシャルプランナーの先生による説明会を開催しております。

3つ目は、「キャリアデザイン」に関するセミナーです。前述の2つの説明会・セミナーにて、50歳代以降の収入と支出の双方についてイメージを持ったところで、将来のキャリアについて自ら考えるためのセミナーです。ここでは、社員個々人が、過去のキャリアの棚卸しを行い、60歳代を含めた自身のライフプラン、キャリアプランについて考えてもらいます。キャリアデザインの研修については、50歳代前半と50歳代後半に分けて開催しており、前者の50歳代前半の職員向け研修「ビジネスプロッフェショナル・バリューアッププログラム」について、エム・アイ・アソシエイツにお願いしております。この研修では、社内外の環境認識を深めた上で、これまでの会社生活での経験や自己の価値観等の分析を行い、50歳代以降のキャリア目標を設定、具体的なアクションプランに落とし込む作業を行っています。
図1.png
Q.キャリアのプログラムを受講された方々からは、どのような声が挙げられていますか?
毎回、参加者にはアンケートを実施しているのですが、参加者からは、「今まで過去のキャリアを振り返るようなことを行ったことがなく、非常に良い機会となった」「自身のキャリア目標を明確にした上で、達成に必要なスキルや経験を具体的に認識し、アクションプランまで作成することは非常に有意義であった」という声が挙がっています。また、「自分を客観的に分析することで、強みを再認識することができた」、「同年代の参加者と情報交換をすることで、他の人の考え方を聞くことができ、非常に参考になったし、刺激を受けた」といった声も挙がっています。

若手の頃は、新入社員研修に始まり、同じ年代が集まる研修がありますが、その後、集まる機会は少なくなるため、50歳代の社員にとっては、久しぶりに研修に出て、同期や同じ年代の人達と話すことが大きな刺激になっているようです。

Q.「ビジネスプロフェッショナル・バリューアッププログラム」は2006年の高年齢者雇用安定法の改正直後から引き続き実施されていますが、その間に変化はありましたか?
その間、少しずつメッセージは変わってきていると思います。これまでは「社内に残って仕事をするために、ビジョンを持ってバリューも高める」ことを前提に将来のライフプラン、キャリアプランを考えるカリキュラムだったように感じています。しかしながら、「全く違う世界で別のチャレンジをしてみたい」、「悠々自適に暮らしたい」、「趣味の世界に時間を使いたい」 、といった観点で考えることがあっても良いと思います。働くことに限定せずに、「あなたは何をしたいですか?」「あなたが大事にしている価値観は何ですか?」と問いかけ、今一度、いろいろなことを棚卸ししてみることが非常に貴重なことであると思います。

例えば、研修の中でアクションプランを作成する際、現在の仕事の延長線上でしか書けない人も多かったのですが、もう少し先のことを考えたり、現在の仕事の延長線上以外のことについても考えたりする等、参加者の意識の幅を広げてもらうようなカリキュラム設計に改良していく段階にきていると思います。

また、繰り返しになりますが、やはり「自分で考える」ということに気づいてもらうことが、非常に大事だと思っています。バリューアッププログラムで2日間、キャリアの棚卸しや振り返りをすることで、何かに気づいてもらい、それをきっかけに「自分で考えなければならない」と認識を深めてもらうことが最大の狙いだと思います。もちろん、そこで設定したアクションプランが最終というわけでなく、時間の経過とともに、どんどん書き足したり書き直したりすればよいわけです。それに気づいてくれる人にとっては非常に価値のあるセミナーだと思います。

自ら将来のライフプラン、キャリアプランを考えずに60歳定年を迎えてしまい、「何をして過ごしたらよいか分からない」と、いったことにならないよう、早いタイミングから「自分で考えること」を意識してもらいたいと思います。

例えば、「定年後、図書館で時間を過ごしている」といった場合、自分でいろいろ考えた結果として、「(定年後は)小説を書きたいので、調べものをするために定年退職後は毎日図書館に行っている」というのであれば自ら考えた結果としての選択だからよいと思いますが、間違っても、「定年を迎えたが、気が付いたらやることがなくて図書館で時間を潰している」というようなことにならないよう、社員個々人が自ら考えてほしいのです。

先日、ある方から「60歳を過ぎたら、"キョウイク"と"キョウヨウ"が大切だ」と聞かされました。60歳を過ぎても勉強しなきゃいけないということですね、と申し上げたところ、「そうではなく、"今日、行く所""今日、やる用"という話でした。

Q.自分で考えて自律的にライフ、キャリアを歩んでいける人が増えることは、御社にとってはどのようなメリットがあるのですか?
会社に何かメリットがあるという発想はなく、「会社の制度を理解し、早いタイミングで将来のライフ、キャリアを考えることは本人にとってチャンス、選択肢が広がる。」ということだと思います。

退職金や企業年金の説明会に50歳を参加必須にするということは、60歳までの今後10年間で会社の制度も変わるかもしれないですし、タイミング的に早すぎるのではないかという議論もありました。確かに、「60歳以降を含めたキャリア、ライフプランは、まだ先の事なので、考えたことがない」という50歳社員が殆どだと思いますし、直ぐにアクションを起こさなければならないとは思いませんが、考え始めるのが早すぎて損をすることはなく、50歳を「自ら考えるにあたってのスタートライン」と位置付け、研修をスタート致しました。

例えば、今の会社に60歳までいるよりも、別のチャレンジがしたいと思っている社員にとって、考え始めるのは早いに越したことはないと思います。再就職マーケットも、60歳前後に比べると、50歳代であれば、良い条件の案件がある可能性も高く、本人の選択の幅が広がります。

これからも、社員個々人が「自らライフ、キャリアを考える」ことを支援するべく、研修、セミナー、個別相談の充実に努めていきたいと思います。

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