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「キャリア研修で自分自身の成長をプランする」 三菱マテリアル株式会社様

今の時代、キャリアは会社が与えてくれるものではなく自分で考えるもの。特に管理職になる前に、将来を見据え多くの経験を積み、一人ひとりが自分のキャリアを考えることは、社員にとっても会社にとっても非常に重要である。三菱マテリアルでは、3つの節目にキャリア研修を実施し社員が自分のキャリアを考える機会を提供している。今後は、研修の前・後で上司を巻き込みながら、仕事の中で具体的な成果が生まれるような仕組みづくりも手掛けていく。
(対談日:2015年7月6日、役職はインタビュー当時のもの、以下敬称略)

松丘:最初に、御社におけるキャリア研修への取り組みについて教えていただけますか?

人事顧問 鈴木 明 様

人事顧問 鈴木 明 様

鈴木:当社では年齢や役職に応じて自分のキャリアを真剣に考えてもらうために会社人生の節目に3つのキャリアに関する研修会を実施しています。 1つ目は50代後半の社員対象とした「ライフプラン研修会」です。定年間近のこの年代の方には、①会社で培った個人のスキルなどを後世にどう残すか、②退職後の自分のお金をどうするのか経済プランを考える、の2つのテーマを持った研修を実施しています。 2つ目は40代後半の管理職社員を対象にした「キャリアデザイン研修会」です。これは定年の60歳を迎えた後、「定年後再雇用制度」を活用して満65歳まで継続雇用されることを前提に、自分のキャリアを考える機会とする研修会です。主に自分のスキルや知識、経験など属人的な能力要素を棚卸しすることで自分の強みや専門性等を改めて見つめ直し、今後のキャリア形成に役立ててもらうことを目的にしています。この研修では、定年退職後の経済プランにも関心を持ってもらうための情報も提供し、安心かつ安定した会社人生を送り続けられるような内容を含んでいるのが特徴です。いずれの研修会はとても好評で、「5年ごとにキャリアに関する研修をやってほしい」という要望があるほどです。自分を知り、今後の会社人生の方針を考える機会とするためにも節目教育として必要な研修会かもしれません。 3つ目は、30代前半の社員が対象の「キャリア研修会」です。当社では最短で30代半ばで管理職に昇格する者が出てきます。この研修会では現在の自分と管理職社員のあるべき姿とのギャップを理解し、管理職社員までのキャリアを自分で描きます。管理職になるためのマインド形成や会社を背負って立とうという意欲の醸成といった研修効果も期待しています。入社後10年程度経過したこの世代は、現場でも第一線に立ち、日々の業務に忙殺されることが多いのですが、職場を離れて研修に参加することで、自分自身を振り返る良い機会になっています。若手社員には「キャリアは自分で作り上げるもの」という認識を持たせる重要な研修会であり、実績のある御社に全面的に研修を委託しています。

松丘 啓司

松丘 啓司

松丘:ありがとうございます。私どもの会社のことを少しお話させて頂きますと、設立以来10年間、キャリア開発を事業の軸としてきました。いろいろな会社の人を見てきて、日本のビジネスパーソンは与えられた命題に対して答えを出すのは得意だけれども、自分から命題を作り出すのはどちらかというと苦手な人が多いと感じることがよくありました。 今まで日本の会社はどちらかというと会社主導でキャリア形成し、会社が与えた命題に向けて頑張れというマネジメントスタイルでした。しかし、これからは社員一人ひとりが自分のキャリアを考える時代です。自分でキャリアを考え行動することで、個人が有している価値を発揮していけるし、現場で意欲を持って働きながら、自律的に判断していける。そんな状態に変わっていくことが、会社にとっても必要と思っています。 鈴木さんは、このような時代の変化についてどのように感じられますか?

鈴木:そうですね。戦後の高度成長期を迎えた日本は、ものを作れば売れた時代で、その「企業繁栄を謳歌した黄金期」の人材育成は社員一人ひとりに自分の成長を考えさせるというよりも、会社が主導で社員のキャリア形成に多大な影響を与えた時代だったと思います。戦後70年である現代、社員育成に関する考え方も大きく変容し、「キャリア」は自分で作っていくものという色彩が強くなってきました。もちろん、入社間もない社員には会社が導き手となって、会社貢献の道筋をつけることは当然ですが、まさに現代は「自立・自律時代」といっても過言ではありません。近年、欧米諸国の職務主義が浸透し、常に新しいことを提案しないと個人としての価値を認めてもらえない、そのためにキャリア形成の努力を惜しまないという構図かもしれません。しかし、日本に立ち返ってみますと困ったときにはみんなで協力し合うという共働精神が定着していると思います。これは日本のよきマネジメントスタイルであり、強みだと思います。今後は日本で受け入れられる欧米型のマネジメントスタイルと、わが国の良さをうまく使い分けることで強靭な組織体制と制度等を構築する必要性を強く感じています。

松丘:その一方で、世の中の環境変化のスピードはすごく加速しています。良いものを作って長期間同じもので競争力を維持するのは、昔と違って難しくなっています。ですので、一人ひとりが今まで以上に変化を感じて自分で考え、判断し動いていかないと、グローバルな競争には勝っていけないと思いますが、いかがでしょうか?

鈴木:当社の事業のうち、セメント事業や非鉄金属の製錬事業等では長年、競争優位性を維持してきた領域であり、将来的にそのポジションを確保していきたいと考えています。一方、競争が激しい加工事業や電子材料事業はものすごいスピードで事業環境が変化しています。そんな中、競争力と継続的な発展を遂げるために、社員が自主的・主体的に時代の変化を感じ取り、素早く環境に対応する能力や感受性を高くして、主体的に行動するマインドが必要だと思います。これを研修の過程で気付かせ、自ら考える習慣をつけさせるような育成策が必要だと感じています。キャリア研修がそのきっかけになればベストだと考えています。

松丘:なるほど、危機感を実感しにくい環境の中で、研修から変化を起こそうとされているのですね。これから管理職になっていく方々に、自分で自分のキャリアをプランしていけるような力を身に付けさせたいということでしたが、特に研修の内容や進め方について、どのような点を重視されていますか?

鈴木:管理職社員に限らず、社員には仕事を進める上での当事者意識や目的意識を常に持ってもらいたいと考えています。キャリア研修ではこれらの意識やマインドを確認する「場」にしていきたいと考えています。自分は今どのようなポジションにいて、どのような行動が求められているのか、期待役割は何で、いつまでに達成しなければならないか・・・など常に意識してもらいたいです。そういう意味からもキャリア研修は当社の研修体系の中でも重要な要素を含んでいます。毎日、仕事に追われ、自分自身を振り返る時間が限られていますが、「一人前」といわれる入社約10年目で受講するキャリア研修は自分の過去、現在、将来を見つめるベストタイミングだと思います。

松丘:管理職とその手前の人に求められることのいちばん大きな違いは何ですか?

鈴木:一言でいえば調整能力ですかね。管理職になると、上位役職者に対しての提言が重要ですし、下に対しては部下育成とともに職場を良好にマネジメントすることが必要になります。自分自身もプレイヤーとして頑張らなくてはいけません。非常に大切なポジションになります。さらに、自分の感情をうまくコントロールし職場運営をする能力も求められます。ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキル、そしてテクニカルスキルの3つがバランス良く作用することが大事だと思います。

松丘:実際、キャリア開発というのは右脳的な部分と左脳的な部分の両方が必要だと思います。求められている選択肢には何があるのかとか、今、解決すべき課題は何かとか、そういう論理的(左脳的)にしっかり考えながら、単純に論理だけで決めるというわけではなく、自分にとって本当に大切なことは何かとか、自分が価値を発揮できることは何かといった自分が持っている感覚的(右脳的)な思考をよく理解して、重ね合わせていく必要があると思います。それにより一段上の意思決定ができるようになっていくかと思います。

鈴木:そうですね。職場には問題や課題が山積しています。一つ片付けば課題や問題が新たに発見される。小さな課題が手に負えないほど大きくならないうちに摘み取らなければなりません。論理的に思考し、整理する力が必要になりますし、新規なアイデアを出し続ける柔軟な頭脳を鍛えることも必要です。会社に貢献し、企業価値を生み出すことに繋がっていくでしょう。これはキャリア研修の期待される成果の一つかもしれません。

松丘:今後、キャリア研修の効果をさらに高めていくために、課題と感じられていることは何ですか?

鈴木:キャリア研修では過去を棚卸しし、将来のキャリアパスをデザインすることが基本になります。研修に参加してキャリアをデザインしたが、その後どうなったかまったく検証しないということもあります。私どもは「研修の成果は職場で活かす、定着させる、周囲を巻き込む」ということを目指しています。研修で描いたキャリアパスが計画通りにしているのか、軌道修正はないか、遅れていたらどのような打ち手があるかなど、あらゆる側面からの確認が必要と考えています。なので、研修後半年または1年経過したところで進捗確認する仕掛けを考えています。また、上司が人財育成の観点から、部下のキャリア開発に関心を持ち続ける風土醸成が必要だと思います。キャリアは自分で考えるものですが、職場での支援は必要不可欠ですから。

松丘:その場合、部下のこういう所を伸ばしていくためにこんなチャレンジをさせてみようだとか、その際にはこのように支援しようといった、上司の理解や関わりがすごく大事になると思います。上司の方が部下に仕事を同じようにやらせていて、変わったか変わっていないかと言われてもなかなか判断しづらいでしょう。

鈴木:そこで、受講者のキャリア形成のための上司用サポートツールを作りたいと考えています。事前に研修の内容を伝えたり、研修での本人や講師の感想を伝えたりした上で、研修後の面談で活用してもらうツールです。研修後の上司のフォローがバラバラだと半年後、1年後の成果が期待と違うものになってしまうので、見るポイントを記載したツールにする予定です。研修中はもとより、研修前、研修後に上司も巻き込みながら、社員のキャリア形成を支援する仕組みを強固にしたいと考えています。

松丘:ありがとうございました。

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