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「合併後の評価制度構築によって多様な人材が活躍する会社を目指す」 株式会社 安藤・間様

人事制度を統一して合併を迎えたが、合併直後からあらためて、新たな評価制度の構築に取り組んだ。各職種の中核メンバーが議論を重ね、新しい会社の人材像を描いた。その目的は、多様な人材の活躍を評価するためのプロセス行動を定義することにあった。この新たな評価制度によって、人材育成の風土を組織に浸透させることを狙いとしている。また、評価制度の中心は運用にあるという考えから、集合研修とeラーニングを組み合わせ、評価者のスキルアップに継続的に取り組んでいる。
(インタビュー日:2015年6月30日、役職はインタビュー当時のもの、以下敬称略)

Q.職務評価制度の構築に取り組まれた背景や狙いについてお聞かせ下さい。


社長室 人事部 人材開発グループ グループ長 海野 浄 様

社長室 人事部 人材開発グループ
グループ長 海野 浄 様

海野:大きな背景として合併というイベントがありました。もとの両社の職務評価制度は、業績評価の部分については同様のものでしたが、プロセス評価の項目については統一がとれていませんでした。さまざまなタイプの人材が存在することを前提として、大きな意味で新しい会社の人材像を構築することが狙いでした。

那須:合併に先立ち人事制度を検討する際、評価制度に十分な時間を掛けられず、暫定的にスタートしてしまったこともあり、それを根本からもう一度、考え直すために、検討を開始しました。

海野: 2013年4月に合併しましたが、合併時にすべての人事制度を統一する方針でしたので、2012年5月の発表から短い期間で準備を進めなくてはなりませんでした。そこで、人材像については合併後に改めて新しい会社として作っていくことにし、合併後の2013年の夏から検討を開始しました。

那須:新制度の導入は、慎重に進めてきました。2014年4月に導入することも可能でしたが、本当に機能する制度にするため、さらにそこから1年検討重ねました。作成した案を経営者に承認してもらったあと、全国で事前説明会を実施し、社員の意見を集めてさらに練り直して、最終的な制度として今年4月に正式スタートしました。

Q.具体的にどのような検討をされましたか?
海野:人材像の定義にあたっては、土木、建築、事務、営業の4つの職種から、40代の人たちを中心にメンバーを集めて人材像構築ワーキンググループを作り、検討を始めました。新しい会社の方向性などを確認し合いながら、業績を上げていると思われる社員を30人ほど選んで、思考・行動特性診断を受けてもらいました。その結果、点数の高い行動項目に着目して、その人たちが普段取っている行動の特徴をディスカッションで整理し、それをさらに組み直して、1つひとつのプロセス行動にまとめました。
また、目標設定、中間面談、期末評価といった場面ごとに、評価用シートが分断されているという問題がありました。そこで、シートを1枚にまとめる作業を行いました。

執行役員 社長室副室長 那須 麗弘様

執行役員 社長室副室長
那須 麗弘 様

那須:今回特に大きく変わった点として、プロセス評価の基準と評価用シートの書式が挙げられます。 今まで制度では、業績評価には目標設定がありましたが、プロセス評価には目標設定はありませんでした。そこで、新たにプロセス行動開発シートというツールを作成し、そこに行動目標を設定して取り組んでいくことにしました。 まず、この点を皆さんに理解してもらう必要があり、丁寧に説明会を実施しました。会社側としても人材育成の面からプロセス評価を重視していこうと考えていますので、今後、どう取り組んでいくかが課題と考えています。

Q.新制度の展開についてお聞かせ下さい。
海野:新しい制度に従って、現場で目標設定や評価ができるように研修を展開しています。
昨年度は目標設定の具体的な方法に関して研修を実施しました。今年度は評価の方法について研修を実施したいと考えています。

那須:評価制度の中心は運用で、その運用のためには評価者のスキルアップが絶対に欠かすことができません。たくさんいる評価者を全員集めて研修を実施するのは、物理的にも苦しい所があるので、コアとなる層には集合研修、それ以外の層にはeラーニングで展開しています。eラーニングのコンテンツも簡潔にまとまっており、手間もそれほどかからず、きちんと運用すればかなり機能すると考えています。

Q.制度導入で経営上どのような効果を狙っていますか。
海野:プロセス評価の項目(プロセス行動項目)に関しては、前期に行った目標設定研修の中で説明を行いましたが、内容が分かり易くなったとの良い反応を得ています。以前はプロセス行動項目が9つ程度でしたが、新制度では25項目に増やしたことで、人の行動を評価しやすくなったという声をいただいています。
行動項目そのものはごく一般的なものですが、項目数が増えたために「全部の行動項目に優れたスーパーマン的な社員を、金太郎飴的に育てるのか?」という疑問を持った方もいたかもしれません。しかし、実際のところ全部をできる人はいませんし、会社もそれを目指している訳ではありません。
項目を増やして幅を広げたことによって、いろいろな能力の発揮の仕方があるということを社員の人たちに理解してもらいたいのです。お互いに良い所は伸ばしつつ、欠けている部分については互いにフォローできるような社風にしていきたいと、人事としては考えています。

那須: 25項目を個別に評価するのではなく、いくつかの大きなカテゴリーにまとめ、各カテゴリーごとに総合的に評価できるように工夫しています。部署のミッションや経営環境の変化に合わせて、必要な行動項目に焦点を合わせて評価することも出来ます。必ずしも全項目の評価を足し算したものが評価結果という訳ではない、ということです。説明の時もそこを強調しています。
多様な人材が活躍する会社を作っていくことが狙いであり、そういう人材を育成するような社風にしていきたいと考えています。

海野:同じ建設会社とはいっても、文化はそれなりに違います。他の業種から見ると似ているかもしれませんが、合併してみてわかった違いもありました。そういう違いをお互い排除するのではなく、尊重するような方向に持っていきたいのです。
もともとゼネコンというのは男性社会ですが、女性の活躍という観点からも、行動面から強みや特質などを観察できるしくみが必要です。

Q.弊社が担った役割をお聞かせ下さい。
海野:職務評価制度を構築するプロセスに沿ったプログラムをよく作っていただいたと思います。
いわゆるコンピテンシー項目を抽出していく際に、まず思考・行動特性診断を提供していただき、当社のメンバーでディスカッションする際のファシリテーションをしていただきました。我々が頭の中で漠然と考えていたものを具体的な言葉にし、行動をいくつかの側面に分類するという作業も手伝っていただきました。行動に名前を付け、抽象的だったものを言語化するということは、社内のメンバーだけではなかなかできなかったので、そこを手伝っていただいたのは非常に大きかったと思います。
また、プロセス行動の目標を立てるという発想を提示してもらったことで、能力開発の目標設定も制度に組み込むことができました。この点でも非常に大きな貢献をしていただいたと思います。
ゼネコンには古いマネジメントスタイルが残っていますが、社員の自主性を引き出すような目標設定の仕方、指導の仕方、面接の仕方などについても、研修の中で広めていくというお手伝いをしていただきました。この点も会社の課題であり、人事としても、新しいマネジメントスタイルを広めていきたいと考えています。

Q.今後に向けて一言お願いします。
那須:社員が新しい評価制度を自分のものにして、適切に同じようなレベルで運営できるように定着化させていくために、やはり研修を通じて、地道に粘り強く取り組んでいく必要があると考えています。

海野:新制度のプロセス評価項目についてみんなが理解し、「こういう行動はここに当てはまるんだ」という感覚を自然に持てるレベルまで、研修を展開していきたいと考えています。
また、多様性推進の中で、女性だけでなく外国人の採用も増やしたいと思っていますので、今のプロセス行動の項目も何年かのうちに見直しが必要になるかもしれません。今後、そういうことも進めていきたいと考えています。

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