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MIAが考えていること(11):人事制度は2ラウンド制に向かう

[2010.07.21] 松丘 啓司  プロフィール

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 弊社の研修サービスメニューの中に、ミドル・シニア層向けのキャリア研修があります。この研修に対するお客様からのニーズは、最近の1~2年で少しずつ、変化しているように感じます。もっとも特徴的な変化は、対象層の若年化です。


 社員の高齢化はこれからの人事の前提

 2~3年くらい前までは、ミドル・シニア層向けと銘打っていても、対象者はほとんどが50歳を過ぎたシニア層でした。役職定年や会社の定年を控え、50代の前半の頃にシニア向けのキャリア研修を実施する企業が大多数を占めていました。50代のシニア研修に対するニーズは、現在でも同等かそれ以上に存在していますが、その一方で40代のミドル層に対するキャリア研修を企画する企業が増え始めています。その対象層も、40代後半から40代半ばへと少しずつ早まり、最近では40代前半にまで引き下げる企業も現れてきています。

 社会全体が少子高齢化する中で、企業における社員構成が高齢化していくのは必然です(ここで高齢化と言っているのは、企業内における社員構成のうち、会社人生の後半にいる40代以上の割合が増えてくることを指しています)。現時点の社員構成を見ただけでは、たとえば40代前半のいわゆるバブル世代が膨らんでいるというような形が目につくくらいかもしれません。けれども、10年後、15年後の社員構成をシミュレーションしてみると、40代以上の社員が全社員の6割、7割を越えていくという企業も少なくないでしょう。今後の企業の人事は、このような高齢化した社員構成を前提に考えられる必要があります。


 2ラウンド制の人事制度とは

 40代以上の社員割合の増加は、必然的にこれまで以上のポスト不足を生みます。企業はこれまで、このポスト不足という問題に対して、複線型の人事制度によって対応しようとしてきました。ところが、ライン管理職コースと専門職コースのどちらが上という訳ではないと言っても、実際のところ、専門職コースに属するのは狭い意味での専門家しかいないというケースも少なくありません。

 また、企業の側も割り切れず、50歳くらいまで役職ポストを動機付けの手段として用いることで、いわば、引っ張れるまで引っ張るといった運用を続けている実態もあるでしょう。しかし、この先、それでは乗り切ることのできない時期が目前に迫っています。そこで、複線型人事制度のように、キャリアパスを縦に割る考え方だけではなく、会社人生の前半と後半で制度の設計原理を変えてしまうという2ラウンド制の人事制度についても、考える意義があるのではないかと思います。

 これは、たとえば40歳か40代前半あたりを境として、それまでを第1ラウンド、それ以降を第2ラウンドと位置付ける考え方です。第1ラウンドと第2ラウンドでは、社員に対する動機付けの方法が根本的に変わります。


 第1ラウンドは成長重視

 第1ラウンドの人事制度の原理は比較的シンプルでしょう。それは、社員の成長と同期を取ることができるからです。経験と学習によって自分自身の能力を高め、より大きな課題、より重要な役割に挑戦し、それを達成することによる成長実感を提供し続けること。また、昇進昇格や報酬を成長や成果に連動させていく仕組みを整えることは、40歳くらいまでの期間であれば、それほど困難なことではないでしょう。しかし、その原理で定年近くまで引っ張ろうとすると、ポスト不足や人件費増の問題から逃れることはできません。

 第1ラウンドが終わるまでに、社員個々人がこれまでのキャリアについて深く内省する時間を十分に持つことが重要です。それによって、後半の会社人生において、自分自身が何を目的に仕事をしたいのか、自分にとって本当に大切なことは何であるかを理解し、納得しなければなりません。


 第2ラウンドは多様性重視

 第2ラウンドの人事制度における設計原理は、多様な貢献が評価されることではないかと思います。40代以上の社員が過半数を占める組織においては、役職ポストに就いて組織マネジメントに携わる人は少数派になるでしょう。そのため、第2ラウンドでは、むしろそれ以外の多数派の人々を動機づけることが、人事制度の主眼になります。これまでは、どちらかというと制度的には放置されていたような層に、スポットが当てられるのです。

 役職ポストに就かなくても、業務の遂行や若手の育成を通じて会社に貢献することが、価値あることと会社から認められるのは前提です。社員一人ひとりも、自分なりの仕事の目的に納得し、やりがいを感じられなければなりません。そのためには、自分自身の仕事の目的とそれを実現するための行動計画を考えるキャリア開発は、第1ラウンド以上に重要になるでしょう。働き方の多様化も求められるようになるでしょう。

 昨今、ダイバーシティ推進活動において、女性の管理職が増えないことが問題になっている企業も少なくありませんが、その原因は、旧来型の画一的な管理職コース中心の考え方が前提になっているからではないかと思います。そこに無理に女性を当てはめようとしても、限界があるように思います。40代以上のキャリアが多様化することによって、女性管理職の数自体は、さほど問題にはならなくなるのではないでしょうか。そこでは、男女を問わず、一人ひとりに合った働き方と貢献が重要になるからです。

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