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- 【コラム】女性が仕事で活躍するために(1):女性は決してリーダーに向かないわけではない
本連載では、近年注目を浴びているダイバーシティーマネジメント、とりわけ職場での女性活躍推進について考察する。一言で「女性活躍の推進」と言っても様々な切り口があるが、今回は女性のリーダーシップについて述べてみようと思う。
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昨年からの経済環境の大きな変化により、新聞や雑誌などで「変革の時代」という言葉をよく目にするようになっている。変革の時代には、リーダーの出現を期待する気運も高まる。このような時代だからこそ、女性リーダーも増えてほしいのであるが、男性に比べると女性リーダーはまだまだ少ない。
厚生労働省の「平成20年版働く女性の実情」によれば、女性の雇用者数は2,312 万人で6 年連続の増加となり、過去最多となっている。また、雇用者総数に占める女性割合は前年に比べ0.3%ポイント上昇し41.9%となっており、働く女性が増加し続けていることを示している。
一方、厚生労働省の「平成18年度女性雇用管理基本調査」によれば、係長相当職以上の管理職全体に占める女性の割合は、6.9%である。役職別にみると、部長相当職は2.0%、課長相当職は3.6%、係長相当職は10.5%であり、係長相当職以上の全ての役職において女性の割合は増加しているものの、女性の管理職の割合は少ない。
管理職への登用が少ない理由としては、「必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない」、次いで「勤続年数が短く、管理職になるまでに退職する」、「将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在、管理職に就くための在職年数等を満たしている者はいない」などの職務経験の有無に言及するものが多い。しかし、女性の中には、より高度な業務に就くことや能力向上を希望する者が少なくなく、働く上での技能、技術を高め、より高いレベルの仕事に従事したいと考えているにもかかわらず、希望がみたされていない現状が指摘されている。
女性管理職が少ない理由は数多くあるが、そのうちの一つは、女性のリーダーシップが、残念ながら一般的には男性に比べて相対的に低くみられるためである。女性は、職場において性に関するステレオタイプ的な観念から、女性特性のみが期待され、評価され、結果として一人前の職業人や管理職としてみなされにくいということが明らかにされている。
従来職場で女性が期待され、評価されていた能力は、協調性、共感性などの対人的能力と確実性、持続性などの作業能力である。一方男性が期待され、評価されていた能力は、リーダーシップ、企画・開発などの創造的な能力、分析・判断する能力であるとされている。
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リーダーシップ研究に目を転じて見ると、1980年代より変革を視点にした研究が進んでおり、1990年代前半頃まで変革型リーダーシップ論が盛んに議論された。現在では、変革型リーダーシップ論は広く知られており、さらにその内容の精緻化が進められている。
この理論は、1985年にBassによって最初に提唱された。変革型リーダーシップとは、部下に外的環境への注意を促し、思考の新しい視点を与え、変化の必要性を実感させ、明確な将来ビジョンを提示し、自らすすんでリスクテイクし、変革行動を実践するリーダー行動である。
また、Bassらは、アメリカの複数の企業の従業員を対象に、リーダーシップを評価する調査研究を行い、男性の管理者と女性の管理者とでは、どのような側面で違いがあるのかを検討した。その結果、変革型リーダーシップにおいては、女性管理者のほうが男性管理者よりも高い評価を受けていたと結論付けている。
その理由について、Bassは次のように考察している。第一に、女性管理者の方が、男性管理者よりも、他者の気持ちや人間関係など、社会的な感覚が繊細である。このことは、変革型リーダーシップの重要な構成要素である「部下が自分自身の能力をより高めたいという成長の欲求を満たす」働きかけにおける優秀さにつながると考えられる。また、第二に、変革型リーダーシップを行使する際のモラルの側面をあげている。女性管理者は、男性管理者よりもリーダーシップを行使する際に、権威主義的なふるまいをすることが少ないと指摘されている。
従来、女性のステレオタイプ的特性とされ、またリーダーとしては重要性が低いとされていた協調性や共感性は、変革型リーダーシップにおいては、人間関係構築において重要な特性であるとされた。これらの行動特性が、部下に強い動機づけを起こさせる重要な働きをするのである。
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今までステレオタイプの特性論について述べてきたが、私自身は、男性と女性のリーダーシップをステレオタイプ的に捉えることを勧めたいわけではない。しかし、男性のみならず女性においても性による偏見があることを否定することはできないため、触れることにした。また、変革型リーダーシップ論においては、従来リーダーとしては評価が低かった共感性や協調性といった女性の特性とされているものが、変革には重要な働きをすると評価されていることも紹介したかったのである。
本来であれば、男女の区別で考えるのではなく、一人ひとりそれぞれの特性を生かしてリーダーシップを発揮できることが理想的であると考えている。女性には女性としての適切なリーダー行動があるとか、または男性と同じように振舞わないとリーダーになれないというのではなく、自分らしさを活かすことで、リーダーとしての信頼を勝ち得ることができると考えている。もっと女性一人ひとりの個人特性を存分に活かしたリーダーシップが尊重されるようになってほしい。それこそが、本当のダイバーシティーマネジメントであると思う。
男性と女性が、偏見による男女の特性に囚われることなく、自らの特性を生かしたリーダーシップを実現して、お互いに異なるリーダーシップスキルを学びあい、よりすばらしいリーダーシップの発揮につながることを望んでいる。
企業においてこれらの理想的な状態を実現するためには、女性のライフサイクル上の問題や組織風土の問題、個人の問題などを解決する必要があると考えられる。これらについては、次回以降に考えてみたい。
注:Bassの研究についての参考文献
外島裕、田中堅一郎編『産業・組織心理学エッセンシャルズ』の5章「職場集団におけるリーダーシップ」(山口裕幸著)














