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メンタリングで行き詰まらないために~メンター・メンティーが押さえるべきポイント

[2009.01.14] 佐藤 綾子  プロフィール

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メンタリングは万能薬か

"メンタリング""メンター"というキーワードがクローズアップされつつあり、メンター制度がもたらす効果に注目が集まってきている。たしかにメンター制度がうまく機能すれば、個人にも組織にも非常にポジティブな影響がもたらされるが、実際には、他社に倣って制度を導入したものの、当初想定したほど効果が上がってこないという声も多く聞く。メンター制度の性質上、制度の導入後に人事部が介入し管理しすぎることが適切ではなく、メンター・メンティーの自主性にゆだねざるを得ないという事情も関係しているだろう。

メンタリングとは、「個人のキャリア成長と組織適応の促進のため」に行われるものである。メンティーはメンターのサポートを得ながら自律的にキャリアを歩むようになり、メンターはメンティーの支援をしながら自らもキャリア成長を遂げていく。しかし、メンタリングの回数を重ねていけば必ず誰でも効果が得られる、というわけではない。むしろ、本人たちのモチベーションをどんどん下げていってしまうようなケースも多々あるから気をつけなければならない。

では、メンター・メンティー双方にとって有意義なメンタリングにするためにはどうしたらよいのだろうか。本人たちにとっての大切なポイントを3つあげてみたいと思う。


メンタリングの目的は「お互いのキャリアの成長」であることを明確にする

1点目は「メンタリングを行う目的」である。自分たちの労力と時間を割いて行うものであるからこそ、自分たちのキャリア成長のために行うものだという認識をしっかりと持たなければならない。特に、メンター制度が本人たちの希望とは関係なく導入される場合はなおさらである。実際、対象者の多くはメンタリングに対しての戸惑いや不安を抱いているし、目的意識があいまいなままスタートするケースも多々見られる。

「やらなければならないもの」から「やったらよさそうなもの」、そして「やりたいもの」へと意識を変える。前向きな気持ちで取り組めなければ、次第にやらされ感や義務感が募るようになり、その結果、効果が上がらないどころか、両者にとって苦痛な時間になってしまうのである。


主役は「メンティー」であることを忘れない

2点目は「メンターとメンティーの関係」である。メンタリングの主体はメンティーであり、メンターはサポーターである、ということをきちんと理解しておかなければならない。メンターとメンティーの関係がうまくいかなくなる原因はここにもある。

スタート時、多くのメンターはメンティーの力になってあげたい、という前向きな気持ちでメンタリングに臨もうとする。しかし一方、メンティーは自分たちがメンタリングの対象者になったことへの疑問や戸惑い、警戒心を持っており、前向きだとは言いがたい。このままの関係性で進めてしまっては、なかなかうまくいかない。メンターが手をかけすぎてしまい、結果としてメンティーを依存させてしまうケースや、入れ込みすぎたメンターが疲弊してしまうケースも多くある。


メンターは「自分自身のキャリア」の語り部になる

本来メンタリングは、お互いに刺激を受けながら、成長していくための場である。つまり、未来へ進むためのエネルギーを創出する場でなければならない。もちろん、メンターがメンティーの悩みを聴き、気持ちを受けとめることは非常に大切であるが、それがすべてではない。忘れてはならないのは、折に触れてメンター自身が仕事への情熱や思い入れを熱く語る、ということだ。「自分にとって仕事とは」「なぜ働くのか」「会社とは」などについて自分の"思い"を自分の"言葉"で語る、ということも重要なのである。

メンタリングはお互いのキャリア成長のために、一仕事人として真剣に向き合う場である。だからこそ、メンターから発せられた、思いのこもった言葉こそがメンティーにとっては何より大きな意味を持つ。そしてメンターの思いを聞きながら、メンティーも自分のキャリアをしっかりと考えられるようになってくる。お互いに本音で語りあえるようになる頃には、両者は強い信頼関係で結ばれているだろう。

しかし、自分のキャリア観、仕事観を語るなど容易なことではないし、普段から意識している人はすくない。メンタリングで行き詰まることが多いのは、語られるべきことが語られず、信頼関係も構築されないまま、表面的な会話だけを繰り返すだけにとどまってしまうからである。

だからこそ、メンタリングを始める前に、メンターはまず自分のキャリア、仕事についてじっくりと考える機会を持っておかなければならない。これがメンタリングを有意義なものにするために重要な第3のポイントなのである。

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