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組織で働くということ その2

[2007.05.28] 小林 知巳  プロフィール

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前回のコラムで、今働いている企業組織の中で自分の目標との接点を見出すことが、組織で働く価値の向上につながると述べました。
今回は、その具体的な方法について書きたいと思います。


■自分を深く知り展望をもつ

組織で働く価値を高める上で、まず必要なのは「自分なりの展望をもつ」ことではないかと思います。例えば5年後に、何を実現していたいのか? どのような人材になっていたいのか? といった個人の目標を設定するのです。

自分らしい展望をもつためには、自身の強み・弱み、あるいは好き・嫌いといった特性を正確に把握しておく必要があります。よく言われることですが、自分自身のことは分かっているようで案外分かっていないものです。深く自分を理解するためには、忍耐強く自己省察を繰り返すことが必要です。

個人的な感覚ですが、こうした自己分析ができていない人ほど、現在身を置いている組織への不満を抱きがちではないかと思います。自分が真に欲しているものがはっきりしないがゆえに、組織に対する要求の焦点がぼやけてしまい、過大になっていきます。すると不満が募り、行き場の無い不満を抱え続けることで自分自身を消耗してしまいます。
それでは、目標実現のために組織を「利用する」ことができません。

■自己中心的に組織を見渡し接点を見出す

次のステップは、今働いている組織について知ることです。組織が掲げるビジョンや目標を把握し、自分自身をはじめ従業員に何が求められているかを理解します。

ここで大事なことは、少し極端な言い方になりますが、「自己中心的に組織を見渡す」ことではないか、と思います。つまり、自分自身の望みをはっきりさせ、その実現機会がどこに在るか、を見定めるのです。それが、個人(自分)と組織の接点になります。

接点を見出したら、そこで仕事をするための戦略を練り、行動に移します。具体的には、上司との面談や評価・査定などの機会を捉えて、自分の意思を表明し関係者を説得する、あるいは社内公募制度があれば応募する、といった行動をとります。新たなプロジェクトなどを提案することも考えられます。この段階では、単に自分の望みさえ明確であれば良いという訳にはいきません。そこ(接点)で自分がどう貢献できるのか、組織にとってのメリットは何か、を明快に語れる必要があります。そのためには、自己中心的な立ち位置から、マネジメントの立ち位置に軸足を変えて、説得のロジックを練る必要があります。


■一貫した仕事ができる状況を作り出す

自分自身と組織との接点で働く機会を手に入れたら、そこで長く仕事をするための努力をする必要があるでしょう。大きな目標であればあるほど、経験や知識を積み重ねながら、時間をかけて実現することが求められるからです。組織の論理のもとに強行される意図しない配置転換から、身を守らねばなりません。では、どうすればよいのでしょうか。

例えば、自分は何のエキスパートなのかをはっきりとさせ、組織内で宣言することは、その一手段になり得るでしょう。自他共に認める専門分野が確立すれば、意図しない異動を避け、一貫した仕事ができる環境を引き寄せることができるのではないでしょうか。

社内でプレゼンスを高めるだけでなく、社外(市場)において自分の専門性を認知させることも考えられます。最近、雑誌やウェブ媒体などを通じて、さまざまな知見やアイデアを世に問う人が増えてきました。純粋な個人として自分を市場に露出させることは案外難しいものです。しかし、所属する組織のネームバリューやステータスをうまく利用すれば、はるかに容易く自分を売り出すことができます。

外(市場)である分野のエキスパートとして認知されれば、その分野で一貫して仕事ができる可能性は飛躍的に高まります。また、そうした努力は自分の市場価値を高め、ひいては組織への貢献度を高めることにもつながるはずです。

■組織に求められる役割

マネジメントの観点からは、従業員個々人が組織と自分との接点を見出し、持ち味を発揮することをサポートする機能が、これまで以上に重要になるでしょう。
まず、従業員が自身を深く知り、自ら目標を設定できる機会や環境を提供することが必要です。さらに、組織の中で個人が目標を実現する機会(組織との接点)を見出しそこで持ち味を発揮することを、手助けする役割も求められます。

なぜなら、変化の激しいグローバル競争において成長し続けるためには、トップダウンのリーダーシップだけでなく、現場の第一線にいる従業員一人ひとりが主体的に思考し行動する活力をもった組織づくりが不可欠だからです。
企業は、組織に従業員を従わせるマネジメントから脱却し、「個を活かす」ことを真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか。

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